THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『6才のボクが、大人になるまで。』

 

6才のボクが、大人になるまで。(字幕版)

6才のボクが、大人になるまで。(字幕版)

  • 発売日: 2015/07/22
  • メディア: Prime Video
 

 

  12年かけて同じ俳優たちを起用してちょっとずつ撮影することで、当初は少年であった子役が思春期を過ぎてローティーンになるまでを映画においてリアルに再現しているところがウリの作品。実験的な試みをしている作品ではあるが、それしか特徴はない。なにしろ長過ぎるうえに単調過ぎる。

 アメリカのどこにでもいそうな家族を題材にしているという感じのストーリーで、起こる出来事も他のアメリカ映画のなかで散々見させられたものだ。アメリカ人の男子なので主人公はグレたり未成年飲酒やドラッグに手を出したりしながらも立ち直る(アメリカ映画を見ていると、若い頃に犯罪を経験しない男性はアメリカは存在しないかのように思えてくる)。アメリカ人なので両親はもちろん離婚するし、母親の再婚相手はもちろんDV野郎だ。主人公が主に青春をすごするのは2000年代中期〜2010年代後期であり、主要人物はもちろんブッシュを批判するし、オバマを支持しないやつはもちろん悪人だ。そしてなんだかんだで主人公は周りの人物に恵まれていて、人生の師たちから適切なアドバイスを受けながら、まあそれなりに背中を押されていい感じに前向きそうな未来へと向かっていく。

 主人公の少年時代を彩るカルチャーはXBOXであったりハリーポッターであったりするし、高校生時代には『ダークナイト』や『トライワイト』といった作品の名前が会話のなかに出てくる。ここら辺では明確に「自分よりも若い世代」の話であることが意識できた。

 つまらないうえに書き割り的なキャラクターしか出てこないので感情が震えるということはないのだが、こういう少年ものや青春ものを見ていると自分の少年時代や青春時代を思い出してしまい純粋にイヤな気持ちにはなる。