『ゼロの焦点』
松本清張が原作で野村芳太郎が監督。見合い結婚をした夫が結婚から数日のうちに金沢に行ったきり失踪してしまい、この映画の主人公である妻は自身の手で真相をつかもうと金沢を訪れるが、そのうちに米兵相手に売春行為をしていた女性(パンパン)が自身の忌まわしい過去を隠すための哀しい犯罪の事実が明らかになっていき…という感じのストーリーだ。
原作・監督の組み合わせが同じな『疑惑』がかなり面白かったのでこちらにも期待していたが、なんだか大仰なメロドラマ的サスペンスという感じで特にピンとくるものがなかった。いかにも「火曜サスペンス劇場」的なお話だ(むしろ、「火曜サスペンス劇場」のルーツにこの作品があるのかもしれないが)。BGMが安っぽすぎてうるさすぎてひどかった。
主人公にも犯人にも被害者にも(当時では)有名な女優を使っていることがポイントであるようで、まあ女同士のバトルを楽しむための映画なのかもしれない。個人的には、主人公を演じる久我美子の顔がやたらと男っぽく見えてそこがずっと気になった。