THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『パニック・ルーム』

 

パニック・ルーム (字幕版)

パニック・ルーム (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 金持ちの旦那と別れた美人な母親(ジョディ・フォスター)がマンハッタンのど真ん中にある豪邸を買って、娘(クリステン・スチュワート)と二人で引っ越してきた。しかし、引越した当日の晩に、三人の押し入れ強盗(フォレスト・ウィテカージャレッド・レト、ドワイト・ヨアカム)が家に侵入する。母親は娘を連れて、たまたま家に備わっていた、監視カメラ付きであり外からの侵入不可能な緊急避難用の密室「パニック・ルーム」に逃げ込むが、押し入れ強盗たちはこの家の前の持ち主の隠し財産を狙っていたのであり、そしてそれはパニック・ルームの内部に隠されているのであった…。

 

 この映画の予告やCMが流されていた当時はわたしは小学校の高学年か中学一年生かであって、やたらと恐ろしさを強調した予告であったこともあり、さぞやホラーな映画であるだろうと長年思ってきた。しかし、公開から20年近く経った後にいざ意を決して観てみたところ、そんなに恐ろしい内容ではなかった。強盗が侵入してきた直後の序盤こそハラハラするが、いちどパニック・ルームに避難した後は安全圏での間延びした展開が続くことになる。避難後にも電話を入手したり薬を入手したりするために強盗の目をかいくぐってパニック・ルームを出る場面もあったりするし、娘の発作が起きたり電話で求めた助けがやってきて返り討ちにあうなど展開の工夫はあるのだが、それでもまあ間延び感は否めないのだ。

 そして、この映画はぜんぜん怖くない。それはひとえに強盗グループの素人っぽさのせいであり、特にフォレスト・ウィテカー演じる元警備員の強盗がどちらかといえば善人に近い人物であるからだ。母娘をガスで炙り出そうとしたらやり返されて…というシーンもなんとも間抜けなものだし、強盗同士で内輪揉めしている間にしてやられる場面などもあったりする。…とはいえ、それがこの映画の欠点とは限らず、強盗側がどうパニック・ルーム内の母娘を外に出すかという戦略を楽しむ要素もあるだろう。ホラーとして見ると期待外れであるだろうが、ゆるいサスペンス映画として見るぶんには、設定の独特さも活かせているしキャラクター描写もいいしで、充分に楽しめる感じである。大人版『ホーム・アローン』と評している人がいたが、たしかにその表現がピッタリかもしれない。タンクトップ姿のジョディ・フォスターが屈みながら移動する場面が多いので、終始胸がぷるぷると揺れ続けるところも見ものであるだろう。