THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『ホース・ソルジャー』

 

ホース・ソルジャー(字幕版)

ホース・ソルジャー(字幕版)

  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: Prime Video
 

 

 2001年の同時多発テロ事件の直後にアフガンに赴いて、反タリバンの地元勢力と協力しながら対タリバン戦線の先陣を切って成果を出した、12人のみで構成されたアメリカ軍部隊(といっても、上空にいる空軍が戦闘をバックアップしてくれるのだが)のお話。原題は『12 Strong』だが、馬に乗って戦ったから邦題は『ホース・ソルジャー』である。とはいえ、「馬に乗って戦った」こと自体は作品のメイン要素でないし馬が出てくるのも中盤からであるため、この邦題はミスリーディングでよくないものと言えるだろう。

 戦争もの映画としてもかなり単調な内容の作品である。政治的駆け引きという要素もほとんどないし社会派な反戦要素も全くなく、キャラクターもみんな戦争ものではありがちな性格や役割を与えられている。イラクだとかアフガンだとかあたりの砂漠でターバンだかなんだかを巻いた現地の人たちと交流したり協力したりしながら同じくターバンだかなんだかを巻いたテロリスト連中たちとドンパチする、という内容の映画はこれまでにももう佃煮にするくらい製作されている感じがあるので、食傷が否めない。主演はクリス・ヘムズワースであるが、『マイティ・ソー』や『アベンジャーズ』や『ゴーストバスターズ』では輝いていた彼もこの映画では精彩を欠いているし、一人で作品を引っ張って魅力あるものにすることができるだけの格やカリスマ性もまだ身に付いていないようだ。脇役陣にもマイケル・シャノンマイケル・ペーニャなどの魅力的な俳優はいるのだが、それでもこの映画の大味さと凡庸さを打ち消すには至っていない。