THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『評決のとき』

 

評決のとき(字幕版)

評決のとき(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

 娘を白人の無法者二人にレイプされて殺されかけたカール・リー・ヘイリー(サミュエル・L・ジャクソン)は、白人は裁判にかけられても有罪にならないと絶望して、裁判所で無法者たちを射殺してしまう。そして、知人である弁護士のジェイク・ブリガンス(マシュー・マコノヒー)に弁護を依頼する。原告側にはやり手の検事であるルーファス・バックリー(ケヴィン・スペイシー)であり、陪審員の選定もうまくいかず、圧倒的に不利な状況でバックリーは弁護を試みる。才気煥発な若手法学生のエレン(サンドラ・ブロック)の助力が得られる一方で、射殺された若者の親類がKKK接触したりして、ブリガンスの知人やエレンにまでKKKの暴力が迫る…。

 

 視聴を開始してしばらくしてから嫌な予感がしたので調べてみたら、案の定『ニューオーリンズ・トライアル』と原作者が同じ(ジョン・グリシャム)だった。『ニューオーリンズ・トライアル』に比べると奇抜さが少なく真っ直ぐな作風になっているとはいえ、やはり、話の展開に刺激を与える目的で挿入されているであろうKKKの暴力パートがあまりにも余計だ。法廷の外でのスリルや闘争なんていらない。主要人物が死なないこともわかっているし、映像のショボさも合わさって「いいからさっさと法廷を開始しろ」という気にさせられる。キャラクター描写も『ニューオーリンズ・トライアル』に比べればマシだがやはりテンプレ的で書き割り的。最後に主人公が熱弁するメッセージもまあ予想の範囲内。せっかく良いことを言ってくれても、そこに至るまで2時間半近くダラダラとかかっているのだから、観客であるこちら側の気持ちがすっかり冷めている。安直な暴力シーンはカットして、90分くらいにスッキリ収めていればよかったのだ。