THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

ひとこと感想:『はじめてのおもてなし』

 

はじめてのおもてなし(字幕版)

はじめてのおもてなし(字幕版)

  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 Wikipediaによるとドイツ国内で興行収入が2016年第一位らしいが、たしかに悪い意味で「万人受け」する映画というか、日本の邦画でもありそうな「映画先進国以外で国内興行収入が第一になる映画」にありがちなつまらなさや味気のなさがある映画だ。

 ナイジェリア難民の青年、ディアロを受け入れたハートマン家で起こる珍騒動を題材にした映画だが、ハートマン家の家族のキャラクターはいずれもテンプレ的でありがちだし、彼らが抱える悩みも安っぽければその解決方法も安っぽい。ディアロも「心優しいアフリカ難民」という以外に特徴のないキャラクターであるし、ちょっとマジカル・二グロという感じすらある。演出も、いかにも大衆向け感動作品的な野暮ったさやダサさに満ち溢れている。

 物語の冒頭では移民受け入れ賛成派に対する皮肉を効かせつつも、基本的には受け入れ反対派やネオナチ(そしてアフリカや中東で暴れている"過激な"テロリスト)が悪役であるし、特に新しい観点からであったり深い洞察に基づいたメッセージがあるわけでもない。ヨーロッパ映画なんだから『ザ・スクエア』みたいなアイロニーがたっぷりで展開が予測不可能な知的な作品を期待していたところだが、そういう作品とは対極に位置する。子どもに見せたり教材として学生に見せるぶんには悪くないかもしれないが。