THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『先に愛した人』

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 主人公の少年の父親(スパーク・チェン)が死亡したが、その保険金は妻(シェ・インシュエン)ではなく男性の愛人(ロイ・チウ)だった。少年は母親と父親の愛人との間で振り回されるがやがて二人がそれぞれに抱える重たい事情が明らかになって三人は打ち解けていって…

 

 台湾の映画であるが、同性愛をフィーチャーしたテーマやカラフルな画面やキャラクター描写や物語の展開は実にネットフリックスっぽい。前半で特によく出てくる画面内にイラストが挟まれる演出も悪い意味でネットフリックスっぽ過ぎるし、滑っていたように思える。

 要するに、「最近のアメリカのインディーズ映画でありそう」な映画という感じがやたらと強いのだ。韓国映画『パラサイト』のときには韓国映画に特有の歪なストーリー展開や不自然なキャラクター描写に文句を付けたが、『先に愛した人』のように欧米映画っぽ過ぎる作品には、それはそれで「真似事」という感じが強くて気持ちが冷めてしまう。

 序盤は主人公の少年がメインであったところを中盤以降は母親と父の愛人とにスポットが当たっていって、母親のキャラクター描写とか苦しい気持ちを独白するところとかはまあまあ良かったのだが、しかし序盤における主人公の少年が独白したりするシーンがいくらなんでもアメリカ映画っぽ過ぎて、全体として作品に好印象を抱けなかった。

 

 まあ正直いって自分がアジア圏の映画にあまり好意的でないというか下に見ているところがあるのは自覚しているのだが、この映画に対するみんなの評価を調べてみると一時期のフランス映画のようにファッショナブル消費されていたり"萌え"消費されている感じが強くて、けっきょくみんなも対等には見ていないんじゃないかという気はしなくもない。