『キャットファイト』
戦争関係の会社を経営する金持ちの夫と結婚して悠々自適と暮らすヴェロニカ・ソルト(サンドラ・オー)と、画家を志しているが芽が出ずに貧乏生活をしている同性愛者のアシュリー(アン・ヘッシュ)。ふたりは大学時代に同級生であったが、双方ともにプライドが高くて俗物ではあるがその指向性は真逆であることから相性が最悪で犬猿の仲だった。そして、夫が招かれたパーティーに出席していたヴェロニカとそのパーティーで給仕のバイトをしていたアシュリーは、ばったり再会する。ヴェロニカとアシュリーは互いの現状について罵り合い大げんかとなった。そして、喧嘩の挙句に階段から突き落とされたヴェロニカは昏睡状態となる。……2年後に彼女が目覚めた時、ヴェロニカは夫も息子も財産も失ってしまった。その一方でアシュリーは画家としての大成功を収めていたのだ。……だが、再開したヴェロニカとアシュリーはまたもや大ゲンカになって、今度はアシュリーが昏睡状態になってしまい……。
かなりくだらなくて俗っぽいコメディ映画であるし、評価すべきところはあまりない。タイトル通り、女同士の流血の殴り合いが見られるところが特徴であるだろうか。
イラク戦争関連の社会風刺や俗悪なニュース番組のパロディはあまり品が良いものとは思えなかったし(「おならマシン」の天丼はくだらなさ過ぎて笑えてしまったが)、ヴェロニカとアシュリーがそれぞれ絶頂状態にいたところが昏睡によって破産して転落する、という繰り返しネタも微妙だ。ただし、俗物な二人がひどい目にあったときにも彼女たちが見下していた身近な人物は善性を示す、という点は後味を悪くし過ぎない効果があってよかったと思う。
いずれにせよ、特に批評性や独創性もなければ感銘を受けるところもない、凡作なコメディ映画であることは間違いない。まあ気軽に見られる作品ではあるけれど。サンドラ・オーも見た目の印象は強烈であるがカリスマ性や独創性は感じられなくていかにもテレビドラマ畑的な女優であると思う。