THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『トゥルー・クライム』

 

トゥルー・クライム(字幕版)

トゥルー・クライム(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

  

 いまから20年以上前の作品であるのにこの時点ですでにおじいちゃんになっているクリント・イーストウッドが主演・監督の作品。冤罪で死刑を宣告されてしまった黒人男性(イザイア・ワシントン)が濡れ衣を着させられていることに彼の死刑執行の前日に気付いてしまった新聞記者のイーストウッドが、がんばって真相を明らかにして死刑囚を救い出そうとする、というお話だ。

 なんとはなしに見始めてみたが、黒人男性の冤罪問題を扱っているという点で、最近のブラックライヴズマター運動をちょっと連想させる作品である。しかし黒人男性はあくまでイーストウッドの活躍を描くための引き立て役となってしまっているところ、真犯人もけっきょく別の黒人男性であることなど、最近のポリティカル・コレクトネスの基準には全く達していないと言えるだろう。

 役者としては、イーストウッドとイザイア・ワシントンのほか、死刑囚の妻役を演じるリサ・ゲイ・ハミルトンもいい演技をしている。

 しかし、イーストウッドが白髪のジジイのくせにやたらと女好きで、他人の妻に手を出しまくっているという設定は不愉快だ。本筋である事件の真相を追う描写はありがちであったりご都合主義であったりしながらもそれなりに面白くて先が気になり惹き込まれるものではあるのが、女性関係の描写や寝取った女の亭主とのいざこざに尺が割かれているのが気にくわない。しょーもない内容のサスペンス映画であるくせに2時間もあるのが長過ぎなのであって、主人公の女好き描写はバッサリ削って90分にするべき作品であったのだ。