THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『サイコ2』

 

サイコ2 (字幕版)

サイコ2 (字幕版)

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 実は『サイコ』を観たことはないんだれけど、数年前にTwitterで『サイコ2』の好評がまわってきて、最近になってPrime Videoで無料配信されていたから鑑賞。

 

 精神病院から出てきて社会復帰したノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)のオドオドしたオタクっぷりにはやたらとリアリティがある。ぶっとい眉毛とかダサいシャツとか全部合わせて、「日本のオタクにもこんなやついるなあ」という感じだ。それでありながら不気味さもちゃんと含んでいるところはさすがという感じ。

 しかし、この映画のキモはメアリーを演じるメグ・ティリーであるだろう。当初はノーマンを陥れる目的で接触した彼女は、彼の弱さや優しさを目の当たりにしていくうちに無実と信じるようになり、「母性」に目覚めたかごとく徹頭徹尾としてノーマンを守る。白人にしては珍しいほどの子供っぽいあどけなさを放つメグ・ティリーがノーマンの擬似母親になる展開はなんだかガンダムにありそうな関係でアニメ的だが、そのために魅惑的だ。メグ・ティリーは終始可愛くて、この映画の公開をきっかけに人気が爆発したというのも納得できるところである。

 

 ストーリーとしても、ミスリードが徹底しており、ノーマンの妄言かと思われていたことが現実であったことが明かされる最後の展開はたしかに驚いた(絶対にノーマンが犯人であると思い込んでいちゃった)。とはいえ、そこに至るまでの展開には無理があるし、事故と殺人の連続で主要登場人物がことごとく死ぬクライマックスはサスペンス映画にはつきものであるとはいえ、見ていて気分がよいものではない(メグ・ティリーが死んじゃうのもかわいそうだ)。

 とはいえ、カラフルで明るい1980年代を舞台としながら陰惨な事件が起こるギャップもなかなか印象的で、観て損はない作品であるだろう。