THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『フィアー・ストリート』三部作

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 一作目を観たところで男性キャラクターの扱いの悪さとレズビアン推しにイヤな予感がして、検索したところ案の定、「ホラー映画のミソジニー性や異性愛規範」を批評的に反転させてシスターフッドフェミニズムを描いているなんたらかんたらな作品であるというレビューが出てきたり「百合厨」な男女が喜んでいるツイートがいっぱい見つかったので、ムカついたので二作目と三作目はダイジェストで済ませてしまった。

 ティーン向け映画であることを差し引いてもほんとくだらない内容だし、「ホラー映画のミソジニー性や異性愛規範を批評的に反転させた作品」なんて『ハッピー・デス・デイ』シリーズや『ミッドサマー』などをはじめとしてもはやいくらでも作られているんだから新しくもなんともないし志も感じられない*1。『イット・フォローズ』のほうが500倍は批評的*2。というか、イマドキは、「ホラー映画のミソジニー性や異性愛規範を批評的に反転させた作品」を作るだけで物語や作品を吟味して批評する能力を持たないフェミニストや百合厨がホイホイ釣られて好意的に批評してくれるなんてことは火を見るよりも明らかなんかだから、逆に言えば他のどんなタイプのホラー映画よりも安パイを狙った、考えもなければ矜持も持ってない作品であるだろう。

 言うまでもなく、『フィアー・ストリート』を褒めている連中にはマーケティングにまんまと釣られときながら自分では「ミソジニー性」とか「異性愛規範」について批評的に考えられていると思っているアホしかいない。とはいえ、ホイホイ褒めるアホが大量にいるからどんな駄作でも許されて一定の評価は保証されることを見越したうえで、ダラダラと内容のない三部作を作ってしまい、それで当初の狙い通りに評価されているという戦略性や姑息さには感心すべきところかもしれない。

 というわけでこの映画を観ていてわたしがイライラしたのは作り手に対してでもなければ登場キャラクターに対してでもなく、マーケティング目的で安直に大量生産されていく「シスターフッド」に感動や感心をしてしまうアホどもに対してである。自分の価値観と気持ちを安売りする前に、せめて脳みそを働かせてから、感動するかどうかを判断してほしい。