THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『彼女が目覚めるその日まで』

 

彼女が目覚めるその日まで(字幕版)

彼女が目覚めるその日まで(字幕版)

  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: Prime Video
 

 

 ニューヨーク・ポストで働く新人女性記者の主人公(クロエ・グレース・モレッツ)がある日突然幻聴や記憶障害や発作に苛まれるようになって仕事も生活もままならなくなって入院し、医者たちはロクに診察もせずに彼女の症状をアルコール依存症だとか双極性障害だとか決めつけて適切な治療を行うことをせずにどんどん症状が悪化していくが、ようやく適切な診断をする医者があらわれて抗NMDA受容体脳炎だと判明してちゃんとした治療が行われて職場復帰できるようになった、というお話。

 言うまでもなく実話に基づいた物語であるが、クロエ・グレース・モレッツの演技がエゲツないくらいに生々しくてリアルということがあり、症状の恐ろしさや病人に振り回される家族や恋人の苦悩というものが存分に伝わる内容となっている。知名度の薄く偏見の多い病気に悩まされている人の助けになるような、公共性の高い作品でもあるだろう。…が、映画作品としては面白くもなんともない。リアリティはあるのだがそれだけだ。また、主人公のボーイフレンドの見た目があまりにも冴えなくてクロエ・グレース・モレッツとまったく釣りあっておらず、そこがずっと気になった。あとニューヨーク・ポストの職場がパワハラやオーバーワーク上等な感じであり、そこを批判せずに美化して描いている風なのも不愉快だった。