THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

2021年:映画ベスト10&ワースト5

感想記事を書いた映画については感想記事へのリンクを貼ってます。『ドント・ルック・アップ』と『ラストナイト・イン・ソーホー』の感想記事もそのうち書く。 1位:フリー・ガイ 2位:モーリタニアン 黒塗りの記録 3位:ラストナイト・イン・ソーホー 4…

『ジョンQ-最後の決断-』+『イン・ハー・シューズ』

●『ジョンQ-最後の決断-』 ジョンQ ―最後の決断―(字幕版) デンゼル・ワシントン Amazon 上映当時から作品の存在は知っていたが、あらすじの内容からしていかにも重苦しそうだと決め込んで、20年間ずっと観ていなかった作品だ。そしていざ観てみると、まあ確…

『ブリッジ・オブ・スパイ』

ブリッジ・オブ・スパイ (字幕版) トム・ハンクス Amazon 2016年の正月に劇場で観ていたく感動して、ラストシーンではちょっと泣いてしまった作品だ(ほかに「この映画で泣いたなあ」と明確に記憶しているのは『グラン・トリノ』なんだけれど、わたしはいわ…

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

実は同性愛者であるベネディクト・カンバーバッチが底意地の悪い「家父長」を演じながら弟の嫁(ジェシー・プレモンズ)の嫁のキルティン・ダンストをねちねちといじめて、ナヨナヨしている嫁の連れ子のコディ・スミット=マクフィーのこともいびろうとした…

『SPY』+『メリーに首ったけ』

●『SPY』 SPY/スパイ (字幕版) ローズ・バーン Amazon ジェームズ・ボンド的なイメンスパイであるジュード・ロウの補佐役をやっていた主人公のメリッサ・マッカーシーが、復讐のためにスパイ活動に志願したところ意外な才覚が判明して、そんでヌケてるコメデ…

『サイン』&『フライトプラン』

●『サイン』 サイン (吹替版) 磯部 勉 Amazon 公開年は2002年でわたしは中学一年生だったけれど、やたらと評判が悪かったような記憶がある。……と思って調べたら、「2002年で最も高い収益を上げた映画の一つ」であるそうだ。まあ『シックス・センス』は大ヒッ…

『アナライズ・ミー』&『アナライズ・ユー』

アナライズ・ミー [DVD] ビリー・クリスタル Amazon アナライズ・ユー (字幕版) ロバート・デ・ニーロ Amazon ロバート・デ・ニーロ演じるマフィアのボスが少年のときに父親を亡くしたトラウマからパニック障害を発症したが、「男らしい」マフィアの世界では…

『エターナルズ』:多様性と人間中心主義

マーベル映画の「ポリコレ性」についてはこのブログでも何度か論じてきたが、基本的に、『ブラックパンサー』や『シャン・チー』のように「主流派の文化やアイデンティティとは異なる文化やアイデンティティが秘めている魅力やパワー」を強調した、ポジティ…

『ザ・ベビーシッター』&『ザ・ベビーシッター ~キラークイーン』

www.netflix.com www.netflix.com 『ザ・ベビーシッター』のほうは、たしか2017年くらいに「エッチなシーンあるかなあ」と思って序盤に早送りしたけれどエッチなシーンはなさそうだったから見るのやめた。今回はハロウィンということで、『~キラークイーン…

『LEGO ムービー』+『レゴバットマン ザ・ムービー』

●『LEGO ムービー』 LEGO(R) ムービー(吹替版) 森川智之 Amazon 2014年の大晦日にDVDを借りてみて以来なので、およそ7年ぶりの鑑賞。内容はもうきれいさっぱり忘れていて、『フリーガイ』と冒頭がほとんど同じであること(オマージュだよね?)やテーマが似…

『モーリタニアン:黒塗りの記憶』

上映規模は小さいし、主役はベネディクト・カンバーバッチでもジュディ・フォスターでもなくてよく知らんアラブ系の俳優だし、カンバーバッチのでてくる政治サスペンスってこのあいだ『クーリエ:最高機密の運び屋』で観たばっかりだし、そもそも「いまさら…

『デューン:砂の惑星』:工夫ゼロのイマジネーション皆無

デビッド・リンチ版は学生時代に視聴したけれど、12年以上前なの全く内容は覚えていない。しかし、とにかくつまらなかったことだけはしっかり記憶していた。 それで今作もあきらかにつまらなさそうだし、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は『ボーダーライン』や『メ…

『最後の決闘裁判』:価値観を"揺さぶる"のではなく、価値観を"確認する"作品

まず書いておくと、この映画を観たのは公開の翌週の日曜日だ。そして、たった一週間とはいえ、(完成度の高い名作であり、人が言及したがる内容のために)Twitterで様々な感想が目に入ってしまい、明確なネタバレはなかったけれど「どういう作品であるか」と…

『コブラ会』の男らしさ

theeigadiary.hatenablog.com 『コブラ会』、実に面白いのでシーズン3まであっという間に見てしまった。 シーズン2からは、登場人物たちのしょうもない三角関係や、会話や情報伝達が不足によるくだらない誤解による大騒動と悲劇、映画だったらすぐに解決し…

『007/ゴールドフィンガー』+『スノー・ロワイヤル』+『ベストセラー:編集者パーキンズに捧ぐ』+『ミッドナイト・スペシャル』

●『007/ゴールドフィンガー』 ゴールドフィンガー (字幕版) ショーン・コネリー Amazon オッドジョブと金箔を塗られた女の死体が代表しているように、007の旧作のなかでもとくにケレン味が強くて、馬鹿馬鹿しくて、ミソジニーもひどい作品(ボンドがボン…

『刑事コロンボ』

刑事コロンボ 完全版 コンプリートDVD-BOX ピーター・フォーク Amazon わたしが映画を本格的に見始めたのは高校2年生の春休みからなんだけど、当時はミステリーファンでもあった。それで『刑事コロンボ』を見始めたのは高校3年生の夏休みからだ。『ジョジ…

『告白小説、その結末』+『ライ麦畑の反逆児:ひとりぼっちのサリンジャー』

●『告白小説、その結末』 告白小説、その結末(字幕版) エマニュエル・セニエ Amazon ロマン・ポランスキー監督だけど英語ではなくフランス語の映画。英語・日本語の吹き替えもなかったから話に入り込むのは難しく、途中からスマホポチポチしながらの流し見で…

『ミスティック・リバー』

ミスティック・リバー (字幕版) ショーン・ペン Amazon 最初に観たときはたしか20歳だったので12年ぶりの再視聴だが、イーストウッドの作品群のなかでも『チェンジリング』や『グラン・トリノ』並みに出来がよくて記憶に残る内容の作品であり、特にクライマ…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』:ボンドが「有害な男らしさ」から脱却しちゃった

一年半も公開が引き延ばされたクレイグボンドの最終作を、満を持して鑑賞。事前にPrimeVideoで007シリーズが前作配信されたことでクレイグボンドの過去作品を観返すことができて、ヒロインのバックグラウンドとか「ミスター・ホワイト」というキャラクターが…

『キャッシュトラック』

ガイ・リッチーの映画らしからぬハードなBGMや硬派なアクション、重苦しいドラマや雄々しいキャラクターが特徴的な作品だ。 主演のジェイソン・ステイサムはあまり好きな俳優でないのだけれど(そういう役ばっかり演じるから仕方がないとはいえ、どの映画の…

『パディントン』+『パディントン2』

パディントン(字幕版) ベン・ウィショー(声の出演) Amazon パディントン2(吹替版) ベン・ウィショー Amazon 映画好きのあいだでは非常に評判がいいシリーズであり(とくに「2」の評価が高いようだ)、わたしも以前から気になっていたのだが、なぜか「1…

『カリスマ』+『ボーン・コレクター』+『マンディ/地獄のロード・ウォリアー』+『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』+『シャーロック・ホームズ』

つまらなかった映画シリーズ。 ●『カリスマ』 カリスマ 役所広司 Amazon もともとシュールさがウリの黒沢清作品ではあるが、『カリスマ』ではホラー要素を薄めてコメディ要素が薄められているためにシュールさが増し過ぎており、そのくせ絵面は地味なので、…

『容疑者Xの献身』&『舟を編む』

●『容疑者Xの献身』 容疑者Xの献身 福山雅治 Amazon ずっと前にネットで情報を見たか友人からネタバレされたかでメインのトリックは知っていたんだけれど、そこを前もって知っていても特に面白さに支障がないタイプの映画で、そこはよかった。 要するに、北…

『クラシック・ホラー・ストーリー』&『ポロライド』

●『クラシック・ホラー・ストーリー』 www.netflix.com 泥酔しながら飛ばし飛ばしで見たけれど、よくあるホラー映画パロディ映画(「"よくあるホラー映画"のパロディ映画」ではなく、「よくある"ホラー映画のパロディ映画"」)で、内容は覚えていないけどつ…

『ベン・イズ・バック』&『マネー・モンスター』

●『ベン・イズ・バック』 ベン・イズ・バック(字幕版) ジュリア・ロバーツ Amazon わたしの本名と主人公の男の子の名前が同じなために、劇場での公開当時から気になっていた。また、「ジュリア・ロバーツってCDプレイヤーみたいな口しているよな」という(た…

『007/スペクター』

007 スペクター (字幕版) ダニエル・クレイグ Amazon theeigadiary.hatenablog.com 上の記事を書いたときには『スカイフォール』のことをそんなに評価していなかったけれど、『スペクター』を観る前に視返したところ、やっぱり面白かった。「これやるならMCU…

『初恋』+『回路』+『プラットフォーム』

●『初恋』 初恋 窪田正孝 Amazon 公開当初は評判が実によく、カンヌでもなんか評価されていたらしいからけっこう期待して観たのだけれど、ぜんぜんダメだった。昔のタランティーノ的な内容であるけれどあちらを100点としたら30点という感じ。画面の暗さ…

『マスカレード・ホテル』+『検察側の罪人』

●『マスカレード・ホテル』 マスカレード・ホテル 木村拓哉 Amazon 予告がいかにもつまらなさそうなのでまったく観る気はなかったんだけれど、ネットフリックスに表示されたキムタクのドアップの顔に惹かれるものがあり、いざ観てみたら存外におもしろかった…

『クーリエ:最高機密の運び屋』

ついつい『ブリッジ・オブ・スパイ』を連想してしまう設定だが、予想以上に内容は『ブリッジ・オブ・スパイ』に近い。設定だけでなく、自由主義食とソ連の人間との「男の友情」やブロマンス、「信念」といったテーマが似ているのだ。 この作品の最大の感動ポ…

『レミニセンス』

『インセプション』を連想させるような予告が話題であるが、過去にとらわれるかどうかというエンディングはたしかに『インセプション』を想起させる。そして、『インセプション』の最大の感動はレオナルド・ディカプリオ演じる主人公が夢(=亡き妻との過去…