THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

社会派

『ジョンQ-最後の決断-』+『イン・ハー・シューズ』

●『ジョンQ-最後の決断-』 ジョンQ ―最後の決断―(字幕版) デンゼル・ワシントン Amazon 上映当時から作品の存在は知っていたが、あらすじの内容からしていかにも重苦しそうだと決め込んで、20年間ずっと観ていなかった作品だ。そしていざ観てみると、まあ確…

『モーリタニアン:黒塗りの記憶』

上映規模は小さいし、主役はベネディクト・カンバーバッチでもジュディ・フォスターでもなくてよく知らんアラブ系の俳優だし、カンバーバッチのでてくる政治サスペンスってこのあいだ『クーリエ:最高機密の運び屋』で観たばっかりだし、そもそも「いまさら…

『最後の決闘裁判』:価値観を"揺さぶる"のではなく、価値観を"確認する"作品

まず書いておくと、この映画を観たのは公開の翌週の日曜日だ。そして、たった一週間とはいえ、(完成度の高い名作であり、人が言及したがる内容のために)Twitterで様々な感想が目に入ってしまい、明確なネタバレはなかったけれど「どういう作品であるか」と…

『ベン・イズ・バック』&『マネー・モンスター』

●『ベン・イズ・バック』 ベン・イズ・バック(字幕版) ジュリア・ロバーツ Amazon わたしの本名と主人公の男の子の名前が同じなために、劇場での公開当時から気になっていた。また、「ジュリア・ロバーツってCDプレイヤーみたいな口しているよな」という(た…

『クーリエ:最高機密の運び屋』

ついつい『ブリッジ・オブ・スパイ』を連想してしまう設定だが、予想以上に内容は『ブリッジ・オブ・スパイ』に近い。設定だけでなく、自由主義食とソ連の人間との「男の友情」やブロマンス、「信念」といったテーマが似ているのだ。 この作品の最大の感動ポ…

『スウィング・キッズ』+『EXIT』+『エクストリーム・ジョブ』

●『スウィング・キッズ」 スウィング・キッズ(字幕版) D.O. Amazon 朝鮮戦争時の捕虜収容所を舞台としており、タップダンスを通じて北朝鮮兵士のロ・ギス(D.O.)と米軍の黒人兵士のジャクソン(ジャレッド・グライムス)が友情を培っていき、ほかにも中…

『シンデレラ』+『ワインは期待と現実の味』+『ボーダー 二つの世界』+『ラスト・アクション・ヒーロー』+『セルラー』+『女王陛下の007』

●『シンデレラ』 シンデレラ カミラ・カベロ Amazon ノリの良さとお気軽さに振り切った、バカバカしいけど楽しい感じのミュージカル作品。ファンタジー世界でありながらジャネット・ジャクソンやクイーンやマドンナなどのロックミュージックが堂々と流れるし…

『ワウンズ: 呪われたメッセージ』+『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』+『ホテル・ムンバイ』+『リズム・セクション』+『ペイ・フォワード 可能の王国』

●『ワウンズ: 呪われたメッセージ』 www.netflix.com 『レベッカ』に続いてアーミ・ハマー主演のホラー、なおかつ『ザ・コール』に続いて「電話」がキーとなる、Netflixオリジナルのホラー映画。 主人公が拾ったスマホに収められている、生首と学生たちのさ…

『マインドハンター』

1960年代末〜1970年代初頭を舞台にして、猟奇殺人者や連続殺人鬼たちの「プロファイリング」を行うFBI行動科学班の黎明期や創設当初を描くドラマ。半年以上前にシーズン1の途中まで観て中断していたのだが、再開するとシーズン2の最終話までのめり込んで観…

『モンタナの目撃者』&『ウインド・リバー』

ウインド・リバー(字幕版) ジェレミー・レナー Amazon 現代風西部劇(モダン・ウエスタン)を十八番とするテイラー・シェリダンであるが、わたしは彼が監督したり脚本したりした作品を観るたびに、同じく現代風西部劇を映画ではなく小説で展開している作家の…

『ロング・ショット』&『ミッドナイト・スカイ』&『チェリー』&『真実の行方』

●『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』 ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(字幕版) シャーリーズ・セロン Amazon 同じジョナサン・レヴィン監督の『50/50』は面白かったし*1、シャリーズ・セロンという豪華な女優を起用していたり「年上エリ…

『レベッカ』&『ベケット』&『シカゴ7裁判』

●『レベッカ』 www.netflix.com ヒッチコック作品のリメイク。昨年に予告を観た時から期待していたし、前半はリリー・ジェームスとアーミー・ハマーの演じるラブロマンスが実に美しくてワクワクしたが、サスペンスがメインとなる後半になってからは尻すぼみ…

『黒い司法』&『マ・レイニーのブラックボトム』&『42~世界を変えた男~』

theeigadiary.hatenablog.com 「白人に都合のいい物語」ばっかり見るのもよくないなと思って、もっとまじめに人種差別の問題に取り組んでいそうな映画をいくつか見た。 しかし、差別の問題について"真剣に"とか"都合の良さを抜きに"取り組むことって、やはり…

『グリーンブック』と『ベスト・オブ・エネミーズ~価値ある闘い〜』

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~ (字幕版) ウェス・ベントリー Amazon ちょっと映画離れしていたころにたまたまNetflixで『ベスト・オブ・エネミーズ』を観てみたところ、これがなかなか面白く、映画に対するモチベーションを取り戻させてくれた。…

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』:マイノリティとヒーローのジレンマ

www.j-cast.com 四年前に芸人が番組で「ファルコンは弱いからアベンジャーズ空脱退するように説得しよう」という企画を行って、大炎上した。アンソニー・マッキーが演じるファルコンが弱いかどうかはともかく(空を飛べるぶん。ホークアイやナターシャや初代…

『ラビング 愛という名前のふたり』

ラビング 愛という名前のふたり(字幕版) ジョエル・エドガートン Amazon 異人種間結婚が禁止されていた時代のアメリカで結婚をした白人の夫リチャード(ジョエル・エドガートン)と黒人の妻ミルドレッド(ルース・ネッガ)が経験した苦難や行った裁判が題材…

ひとこと感想:『7番房の奇跡』&『羊飼いと屠殺者』&『LOOPER/ルーパー』

●『7番房の奇跡』 www.netflix.com もともとは韓国映画だが、トルコでリメイクされたバージョンを鑑賞。トルコ映画なんかなんてなかなか見る機会がないし、「ファンタジー色や感動色が強すぎる韓国版よりも抑えめなトルコ版の方が面白い」という評判を見か…

『#生きている』

www.netflix.com Netflixオリジナルで韓国映画でゾンビもの。 ゲームオタクな青年のジュヌ(ユ・アイン)がマンションの部屋でゲームしているうちにゾンビパンデミックが発生して、マンションの外にはゾンビ大量発生で出ることができないので、家にあったレト…

『アメリカン・スナイパー』

アメリカン・スナイパー(字幕版) 発売日: 2015/06/10 メディア: Prime Video このあいだ『ミリオンダラー・ベイビー』を再視聴したら以前観たときよりもずっと面白く感じられたのだが、同じイーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』については、公開…

『七つの会議』

●『七つの会議』 七つの会議 発売日: 2019/09/11 メディア: Prime Video わたしは、たまにテレビ番組を見てみたときに、それがワイドショーやバラエティ番組であってもドラマ番組であっても、映像や演出や音楽や効果音などのケバケバしさやダサさや出演者の…

『ザ・ファイブ・ブラッズ』

www.netflix.com 原題は『ダ・5・ブラッズ』(これくらい原題通りのタイトルにしてしまえばいいと思う)。スパイク・リー監督による、ベトナムに従軍した黒人兵士たちの物語。マルコムXやキング牧師を思い浮かばせるカリスマ的な隊長ノーマン(チャドウィッ…

『ミリオンダラー・ベイビー』:安楽死映画とか障害者差別映画とかじゃねえんだよ

ミリオンダラー・ベイビー (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 『グラン・トリノ』劇場公開当時、朝っぱらから大学の図書館でこの作品を観て、夜になってから劇場まで『グラン・トリノ』を観に行った思い出がある。というわけで12年ぶりの再…

『シンドラーのリスト』

シンドラーのリスト(字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 名作であることは間違い無いのだが、『戦場のピアニスト』と同じく、長過ぎる。印象的なエピソードは多々あるのだが、逆に印象的でないというかホロコーストものや戦争ものとしては"よ…

ひとこと感想:『心のカルテ』&『キングのメッセージ』

●『心のカルテ』 www.netflix.com 摂食障害(拒食症)の主人公(リリー・コリンズ)が、医師(キアヌ・リーヴス)の指導のもと、同じような問題を抱えている若者たちと集まった治療用の施設に行って、そこにいる男子(アレックス・シャープ)と恋愛的な関係…

ひとこと感想:『スパングリッシュ:太陽の国から来たママのこと』&『シーラーズの9月』&『7500』

●『スパングリッシュ:太陽の国から来たママのこと』 スパングリッシュ (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 高校生の時に観て以来だから13年ぶりくらいの再視聴。さすがにストーリーの内容はほとんど忘れていた。 夫のジョン(アダム・サン…

『レボリューショナリー・ロード:燃え尽きるまで』

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video サム・メンデス監督の作品は『007』シリーズ二作や『1917』*1は観ているが、それ以前の作品を見るのは、実はこれが初めてだ。 話の内容としては、不満や焦…

『戦場のピアニスト』

戦場のピアニスト(字幕版) メディア: Prime Video ロマン・ポランスキー監督作品。例によって学生時代以来の10年以上ぶりの再視聴。 名作であることは間違いないのだが、内容的にメリハリの付けづらいストーリーが2時間半近く続くので、後半になると疲れてし…

『ファイト・クラブ』

Fight Club (字幕版) メディア: Prime Video ジョセフ・ヒースの『反逆の神話』を読んでいるうちに観たくなったので、10年ぶりくらいに再視聴。 ヒースが指摘しているようにいまでは陳腐化したカウンターカルチャーの価値観が多少作品に反映されているので、…

『パブリック:図書館の奇跡』

エミリオ・エステベスの監督兼主演作品。 オハイオ州シンシナティの図書館職員の主人公(エミリオ・エステベス)は、トイレや水道を利用したり暖をとるために図書館を利用したりしているホームレスたち(リチャード・T・ジョーンズ、マイケル・ケネス・ウィ…

『プロミスト・ランド』

プロミスト・ランド メディア: Prime Video ガス・ヴァン・サント監督の作品。 シェールガスの採掘権を買いに田舎町にやってきたエネルギー会社の社員であるスティーヴ(マット・デイモン)が主人公。スティーヴの同僚のスー(フランシス・マクドーマンド)…