THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『大脱走』

 

大脱走(2枚組) [DVD]
 

 

 TOHO新宿にて、「午前十時の映画祭」で鑑賞。平日の朝に早起きして、四ツ谷から歌舞伎町の劇場までゆったりと歩いていって鑑賞した。こういうことができるのが無職の醍醐味だ。

 3時間近くある大作だが、昔の映画らしく、途中で10分の休憩を挟んでくれる。これのおかげでお手洗いの心配もないし丁度いいところでリフレッシュできるから集中力が保つのでとても良かった。『アベンジャーズ:エンド・ゲーム』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』も休憩を入れるべきだったと思う(そういえば『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作中ではレオナルド・ディカプリオスティーブ・マックィーンに取って代わる形で『大脱走』の場面が引用されていた)。

 

大脱走』を鑑賞するのはこれで3度目だが、何しろ俳優陣が豪華だし、劇中で起こる出来事の数も多くテンポも良いので、見るたびに飽きない。まさに往年の娯楽大作映画といった感じだ。

 群像劇ではあるが、スティーブ・マックイーン演じる主人公のヒルツ大尉は他の連合軍兵士たちからは胆力やカリスマ性が飛び抜けていて、まさに「主人公」という貫禄がある。マックイーン本人の演技もさすがのものだ。『フォードvsフェラーリ』のクリスチャン・ベールスティーブ・マックイーンを模した演技をしたと聞いていたが、やっぱり本物は一味も二味も違う。

 ひょうきんなジェームズ・コバーンもよいし、縁の下の力持ち的なチャールズ・ブロンソンもよいし、内省的な雰囲気が漂っていて他の兵士たちから浮いているドナルド・プレザンスもよい。

 

 しかし、見るたびに驚かされるのだが、脱走計画は想像以上に悲惨な結果になってしまう(失敗か成功かはラムゼイ大佐曰く「物の見方次第」であるとはいえ)。本来ならバッドエンドに近いような内容なるはずの映画だ。しかしこの映画にはポジティブなイメージがあるし、実際に見終わるたびにも後味が悪くなく前向きな気分になれる。ヒルツ大尉をはじめとした登場人物たちの前向きさによるところも大きいが、軽快なテーマ曲やエンドクレジットも一役買っているのだろう。

 今後は劇場で上映される機会もそうそうないだろうが、是非とも劇場で観るべき作品である。