『ジャッカルの日』
TSUTA TVの見放題にあったので再視聴。
1960年代のフランスを舞台に、シャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を企む暗殺者「ジャッカル」が主人公の映画だ。2時間半近くある大作だが、フランスの右翼組織がジャッカルに暗殺を依頼する冒頭から始まって、そこからはジャッカルが暗殺の下準備を進めるパートがずっと続く。1時間弱経過したところでようやくジャッカルを追う捜査側の人間たちも描かれるようになり、捜査側の主要人物であるルベル警視が登場する。
淡々とした演出が醍醐味の作品で、BGMは終盤までほとんど鳴らない。ジャッカルが暗殺用の銃や偽の身分を取得するパートはかなり地味だし、そもそも要人の暗殺を企む悪役の行動であるのに、着々と下準備をこなしていく様子を見ているだけで妙な面白さがある。女性や男性を誘惑して痕跡の残らない隠れ家をゲットして、危なくなったら誘惑相手は処分する、という行動はまさに悪役的でゾクゾクする。殺害シーンですらかなり淡々と描かれているところもポイントだ。
全編に緊張感が漂っているだけに、最後のあっさりとしていて肩透かしな結末が映えるのである。
捜査側のルベル警視が地味ながらかなり有能な人物であることもポイントで、あれだけ入念に下準備したジャッカルが結構あっさり行動を辿られてしまい、終盤はかなり綱渡りな状況になる。ジャッカル側と捜査側、どちらの視点からでもハラハラした作品になっているのがすごいことだろう。それほどスター性のある役者が出ているわけでもないし、主人公であるジャッカルも色気はあるとはいえカリスマ性が感じられるほどではないのだが、この塩梅がまたいいのかもしれない。
数ある往年の名作映画のなかでも、私のなかではかなり上位に入る作品だ。