THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『ガタカ』

 

ガタカ (字幕版)

ガタカ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

ガタカ』といえばSFだし、生命倫理の重要なテーマを扱った映画である*1。しかし、久しぶりに再視聴してみると、SF的な部分や生命倫理的な部分よりもヒューマンドラマや登場人物の描写の方が肝であると痛感させられた。なんといっても「切ない」話だ。主人公の境遇自体がもう切ないし、主人公と弟の関係も切なければジュード・ロウやユア・サーマンとの関係も切ない。ついでにBGMもかなり切ない。

 主人公は不遇な立場を超人的な努力と意志力で跳ね除ける人物だ。冷静に考えるとやっていることがすご過ぎるのだが、あまりに哀れな生育環境と演じるイーサン・ホークの頼りない顔が手伝って、観客が親近感を抱けいて応援できる人物になっている。途中から二人三脚的な形で主人公と共に人生を歩むジュード・ロウのキャラクター性はかなり独特であり、この映画のなかでも最も印象深いキャラクターとなっている。またユア・サーマンはセクシーで良い。

 おそらくSFとしてはツメが甘い部分があったりするのだろうが、視聴後の印象が優れ過ぎていて、わざわざ粗探しをする気にはなれないような作品である。主な舞台となるガタカ社のビルはカリフォルニア州マリン群のシビック・センターという建物をロケ地として使用したものになるが、この建物の「近未来感」の演出もかなりいい味を出している。ちなみに私の母方の実家はこのマリン群にあって、親戚の一人がシビック・センターに勤務していることが自慢だ。

*1:以前に別ブログの方でこんな記事も紹介している。

davitrice.hatenadiary.jp