THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

SF

『サイン』&『フライトプラン』

●『サイン』 サイン (吹替版) 磯部 勉 Amazon 公開年は2002年でわたしは中学一年生だったけれど、やたらと評判が悪かったような記憶がある。……と思って調べたら、「2002年で最も高い収益を上げた映画の一つ」であるそうだ。まあ『シックス・センス』は大ヒッ…

『エターナルズ』:多様性と人間中心主義

マーベル映画の「ポリコレ性」についてはこのブログでも何度か論じてきたが、基本的に、『ブラックパンサー』や『シャン・チー』のように「主流派の文化やアイデンティティとは異なる文化やアイデンティティが秘めている魅力やパワー」を強調した、ポジティ…

『デューン:砂の惑星』:工夫ゼロのイマジネーション皆無

デビッド・リンチ版は学生時代に視聴したけれど、12年以上前なの全く内容は覚えていない。しかし、とにかくつまらなかったことだけはしっかり記憶していた。 それで今作もあきらかにつまらなさそうだし、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は『ボーダーライン』や『メ…

『007/ゴールドフィンガー』+『スノー・ロワイヤル』+『ベストセラー:編集者パーキンズに捧ぐ』+『ミッドナイト・スペシャル』

●『007/ゴールドフィンガー』 ゴールドフィンガー (字幕版) ショーン・コネリー Amazon オッドジョブと金箔を塗られた女の死体が代表しているように、007の旧作のなかでもとくにケレン味が強くて、馬鹿馬鹿しくて、ミソジニーもひどい作品(ボンドがボン…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』:ボンドが「有害な男らしさ」から脱却しちゃった

一年半も公開が引き延ばされたクレイグボンドの最終作を、満を持して鑑賞。事前にPrimeVideoで007シリーズが前作配信されたことでクレイグボンドの過去作品を観返すことができて、ヒロインのバックグラウンドとか「ミスター・ホワイト」というキャラクターが…

『初恋』+『回路』+『プラットフォーム』

●『初恋』 初恋 窪田正孝 Amazon 公開当初は評判が実によく、カンヌでもなんか評価されていたらしいからけっこう期待して観たのだけれど、ぜんぜんダメだった。昔のタランティーノ的な内容であるけれどあちらを100点としたら30点という感じ。画面の暗さ…

『レミニセンス』

『インセプション』を連想させるような予告が話題であるが、過去にとらわれるかどうかというエンディングはたしかに『インセプション』を想起させる。そして、『インセプション』の最大の感動はレオナルド・ディカプリオ演じる主人公が夢(=亡き妻との過去…

『善き人に悪魔は訪れる』+『ザ・ハント』+『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 』

●『善き人に悪魔は訪れる』 善き人に悪魔は訪れる [DVD] イドリス・エルバ Amazon あらすじだけを読むと「なんだかありがちだしほんとうに面白くなるの?」という不安感を抱かされるが、格好いい放題やイドリス・エルバという存在感のある主演俳優に惹かれて…

韓国映画は英語吹き替えで観ることにした(『ザ・コール』)

www.netflix.com 在日アメリカ人であり子供の頃から「家のなかでは英語、外では日本語」という風に暮らしてきたわたしは、逆説的に、語学に関してハンディキャップを持っている。ふつうの日本人であれば中学校から大学まで苦労しながらイヤイヤ英語を勉強さ…

『白頭山大噴火』+『新感染』+『新感染半島』+『アーミー・オブ・ザ・デッド』+『トゥモロー・ウォー』

●『白頭山大噴火』 「ハリウッドでもないところのディザスタームービーか…」と尻込みするところもあったが、『モンタナの目撃者』のついでに観れる映画が他になく、噴火と山火事ということでつながっていなくもないから、劇場で鑑賞。 結果的には「噴火」や…

『ロング・ショット』&『ミッドナイト・スカイ』&『チェリー』&『真実の行方』

●『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』 ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(字幕版) シャーリーズ・セロン Amazon 同じジョナサン・レヴィン監督の『50/50』は面白かったし*1、シャリーズ・セロンという豪華な女優を起用していたり「年上エリ…

『密航者』+『オキシジェン』+『バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート』

●『密航者』 www.netflix.com 火星への移住のための諸々の研究という重大なミッションを背負った艦長・植物学者・医者の三人組のチームがシャトルに乗っていたところ、工事中だかなんだかで想定外の人物がひとり乗っていることが判明して、それで酸素が足り…

『ザ・コンサルタント』+『ザ・ウェイ・バック』+『ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット』

●『ザ・コンサルタント』 ザ・コンサルタント(字幕版) ベン・アフレック Amazon 2016年の公開当時はイロモノなアクション映画だと思ってあまり期待せずに劇場に観に行ったのだが、観てみたらめっぽうに面白く、年間ベスト級。『イコライザー』や『ジョン…

『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(+いくつかのクレしん映画+いくつかのディズニー映画+『閃光のハサウェイ』)

昨年の『激突!ラクガキキングダムとほぼ四人の勇者』もそれなりによかったが、こちらのほうがずっとよい*1。脚本的な欠点が見当たらず、制作陣の狙い通りにやりたいことがやれている。ちょっとテクニカルさが鼻につくし、あまりに技巧的なので逆にシラける…

『ロキ』

先の記事ではソフィア・ディ・マルティーノについて辛口の感想を書いたが、『ロキ』についてもわたしはあまり評価できない。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は面白さはともかく「やりたいこと」はわかるし、ソツのない構成であったことはたしかだ。長…

『OLD』

『イン・ザ・ハイツ』と『孤狼の血:LEVEL2」を観にいく"ついで"という気持ちで観に行ったのだが、意外や意外、この作品がいちばん面白かった。 わたしはシャマラン監督についてはきわめてニュートラルな立場であり、ファンでもアンチでもない。最近だと『ス…

『フリー・ガイ』(と『ザ・スーサイド・スクワッド』)

同日公開した『ザ・スーサイド・スクワッド』のついでの前座という扱いで、軽い気持ちで観にいったのだが、予想を遥かに超えてぶっちぎりで今年のベスト*1。ここ数年のエンタメ映画としてもベスト級である。ぶっちゃけたところ俳優陣は主演のライアル・レイ…

『ブラック・ウィドウ』

theeigadiary.hatenablog.com ・わたしはアベンジャーズの面々のなかではブラック・ウィドウがいちばん好きだし、トップクラスに重要なキャラだと思っているので、彼女の単独映画が公開されたのは喜ばしい限り。 ・女性ヒーローが主人公ということで否応なく…

『ゴジラvsコング』

ゴジラvsコング [Blu-ray ※日本語無し](輸入版) -Godzilla vs Kong Blu-ray- Amazon ・ハリウッド版(レジェンダリー版)の『ゴジラ』シリーズは、一作目のギャレス・エドワーズ監督による『GODZILLA ゴジラ』をわたしはもっとも高く評価している。・たしか…

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版冒頭12分37秒00コマ』 緒方恵美 Amazon ・当初は観る気はなかったのだけれど、先週末は久しぶりに映画をいっぱい観ることになり、そしてちょうどフィナーレ上映のタイミングであった…

『ワンダーウーマン1984』

劇場に映画を観に行ったのは黒沢清監督の『スパイの妻』以来で、およそ二ヶ月ぶり*1。 わたしはマーベル映画のなかでは『キャプテン・マーベル』がいちばん嫌いなのだが*2、逆に、この映画の前作の『ワンダーウーマン』はDC映画のなかでもいちばん好きな作品…

『TENET テネット』:設定や構成が難しいのは置いておいて、人間ドラマやテーマが描けていない

コロナ禍による大作映画の公開延期と『TENET テネット』公開前の盛り上げということが重なって、2020年は7月からノーランの過去作品のIMAX上映が続いた。 もともと自分のなかの生涯ベスト級作品であった『ダークナイト』はIMAXで観てみるとこれまでとは…

ひとこと感想:『7番房の奇跡』&『羊飼いと屠殺者』&『LOOPER/ルーパー』

●『7番房の奇跡』 www.netflix.com もともとは韓国映画だが、トルコでリメイクされたバージョンを鑑賞。トルコ映画なんかなんてなかなか見る機会がないし、「ファンタジー色や感動色が強すぎる韓国版よりも抑えめなトルコ版の方が面白い」という評判を見か…

『シャイニング』&『ドクター・スリープ』

『シャイニング』は五つ星、『ドクター・スリープ』は二つ星。 ●『シャイニング』 シャイニング (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video いまでは大半のホラー映画はそんなに怖くなく見れるし夜におシャワーしたりおトイレに行くときにもホラー…

『インターステラー』

インターステラー(字幕版) 発売日: 2015/03/25 メディア: Prime Video 2014年の公開当時には、もちろん劇場に観に行った。しかし、ノーラン映画のなかでもとりわけ複雑な構成をした作品だということもあり、観た当時は何が起きているか正直よくわからない部…

ひとこと感想:『最高の人生の見つけ方』、『アイ・アム・マザー』、『ニンジャバットマン』

●『最高の人生の見つけ方』 最高の人生の見つけ方 (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video かなり有名な映画ではあるのだが、わたしはこれまで未見で、今回はじめて視聴した。 評価の高い映画であると思ってけっこう楽しみにしてとっておいたし…

『ファイト・クラブ』

Fight Club (字幕版) メディア: Prime Video ジョセフ・ヒースの『反逆の神話』を読んでいるうちに観たくなったので、10年ぶりくらいに再視聴。 ヒースが指摘しているようにいまでは陳腐化したカウンターカルチャーの価値観が多少作品に反映されているので、…

ひとこと感想:『マイル22』、『プロジェクト・パワー』、『バットマン』、『デス・ウィッシュ』

さいきん観たなかで面白かった作品については個別に感想を書いてしまったので、つまらなかったものの感想をこちらにまとめる。 ●『マイル22』 マイル22(字幕版) 発売日: 2019/07/12 メディア: Prime Video CIA分析官ジェームズ・ビショップ(ジョン・マル…

『インセプション』:チームワーク映画の皮を被った純愛映画?

インセプション (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video iMAXで上映中なので、TOHOシネマズ新宿で鑑賞。2010年の公開当時に見に行ったきりだから、ちょうど10年ぶりだ。しかし、映像がウリのこの作品ではあるが『ダークナイト』や『ダンケルク』…

ひとこと感想:『チャイルド・プレイ』&『ビューティフル・デイ』

●『チャイルド・プレイ』 チャイルド・プレイ(字幕版) 発売日: 2019/11/20 メディア: Prime Video メインシリーズの方は高校生の頃にB級映画好きの友人に『チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁』を観させられた思い出があるが、下品でグロいだけの映画だっ…