THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『インクレディブル・ファミリー』

 

インクレディブル・ファミリー (吹替版)

インクレディブル・ファミリー (吹替版)

  • 発売日: 2018/10/05
  • メディア: Prime Video
 

 

 Mr.インクレディブルことロバートが家長のパー一家は全員が超能力者でスーパーヒーロ。しかし、ヒーロー活動のやり過ぎのために行政に怒られたり、そもそもヒーロー活動は違法だったりして、ヒーロー活動はやりにくい。しばらく活動を休止すること決めた一家だが、通信会社の社長であるウィンストン・ディヴァーという男が接触してきて、ヒーローのイメージアップを行いヒーロー活動を合法化する計画を打診した。イメージ戦略の一環として、女性ヒーローである母親のヘレン=イラスティガールが他のヒーローたちと一緒に頑張るが、テレビ画面を乗っ取って悪事を行うスクリーンスレイヴァーというヴィランがあらわれる。当初はうまく行っていたイメージ戦略であるが、実はウィンストンの妹のイブリンがスクリーンスレイヴァーの正体であり黒幕ですべては彼女の筋書きで、イラスティガールやMr.インクレディブルを含むヒーローたちは精神を乗っ取られてしまう。だが、パー家でお留守番をしていたヴァイオレットとダッシュ姉弟は赤ん坊でありながらも最強の超能力を持つジャック=ジャックを連れて、イブリンの企みを打破しに行くのであった…。

 

 ディズニーやピクサー作品でおきまりの「善人っぽく主人公の手助けをしていた人物が悪人」というパターンであるが、もうテンプレのテンプレ過ぎて、イヴリンが登場したあたりで最後までの展開がわかってしまってうんざりした。ヒーローとしての活躍の他にもパー一家の家族問題という縦軸はあるが(これまでヒーロー活動に明け暮れれていたMr.インクレディブルが妻に代わって家事を行なってその大変さに気づくとか、ヴァイオレットの恋愛問題とか)、それだってどうでもいい。ヒーローものとしての絵面も、マーベル作品の方がセンスオブワンダーを感じられるうえにあちらは実写だ。世間的にはジャック=ジャックが可愛いとされていることが唯一の救いかもしれないが、わたしは可愛いというよりもキモいと思った。

 子どもだましな作品が多いピクサー作品のなかでも特にひどい方だ。前作の『Mr.インクレディブル』は面白かった記憶があるが、2018年にもなってこんなに取り柄のない作品を作っても仕方がないだろう。悪役のスクリーンスレイヴァーは昨今のヒーロー映画(というかマーベル映画)ブームを意識したちょっとアンチでメタっぽい台詞を吐くが、そのアンチでメタっぽい台詞自体がいろんなヒーローもの作品でよく聞くようなしょうもないものである。なんか他の人の感想記事を見てみるとスクリーンスレイヴァーのセリフを一生懸命に考察して「すごい、深い、おそろしい」と騒いでいる人がいたが、その人はもっとちゃんとした作品を見てちゃんとしたことを考えることに時間を割くべきなのだ。