THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

アクション

『SPY』+『メリーに首ったけ』

●『SPY』 SPY/スパイ (字幕版) ローズ・バーン Amazon ジェームズ・ボンド的なイメンスパイであるジュード・ロウの補佐役をやっていた主人公のメリッサ・マッカーシーが、復讐のためにスパイ活動に志願したところ意外な才覚が判明して、そんでヌケてるコメデ…

『エターナルズ』:多様性と人間中心主義

マーベル映画の「ポリコレ性」についてはこのブログでも何度か論じてきたが、基本的に、『ブラックパンサー』や『シャン・チー』のように「主流派の文化やアイデンティティとは異なる文化やアイデンティティが秘めている魅力やパワー」を強調した、ポジティ…

『デューン:砂の惑星』:工夫ゼロのイマジネーション皆無

デビッド・リンチ版は学生時代に視聴したけれど、12年以上前なの全く内容は覚えていない。しかし、とにかくつまらなかったことだけはしっかり記憶していた。 それで今作もあきらかにつまらなさそうだし、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は『ボーダーライン』や『メ…

『コブラ会』の男らしさ

theeigadiary.hatenablog.com 『コブラ会』、実に面白いのでシーズン3まであっという間に見てしまった。 シーズン2からは、登場人物たちのしょうもない三角関係や、会話や情報伝達が不足によるくだらない誤解による大騒動と悲劇、映画だったらすぐに解決し…

『007/ゴールドフィンガー』+『スノー・ロワイヤル』+『ベストセラー:編集者パーキンズに捧ぐ』+『ミッドナイト・スペシャル』

●『007/ゴールドフィンガー』 ゴールドフィンガー (字幕版) ショーン・コネリー Amazon オッドジョブと金箔を塗られた女の死体が代表しているように、007の旧作のなかでもとくにケレン味が強くて、馬鹿馬鹿しくて、ミソジニーもひどい作品(ボンドがボン…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』:ボンドが「有害な男らしさ」から脱却しちゃった

一年半も公開が引き延ばされたクレイグボンドの最終作を、満を持して鑑賞。事前にPrimeVideoで007シリーズが前作配信されたことでクレイグボンドの過去作品を観返すことができて、ヒロインのバックグラウンドとか「ミスター・ホワイト」というキャラクターが…

『キャッシュトラック』

ガイ・リッチーの映画らしからぬハードなBGMや硬派なアクション、重苦しいドラマや雄々しいキャラクターが特徴的な作品だ。 主演のジェイソン・ステイサムはあまり好きな俳優でないのだけれど(そういう役ばっかり演じるから仕方がないとはいえ、どの映画の…

『カリスマ』+『ボーン・コレクター』+『マンディ/地獄のロード・ウォリアー』+『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』+『シャーロック・ホームズ』

つまらなかった映画シリーズ。 ●『カリスマ』 カリスマ 役所広司 Amazon もともとシュールさがウリの黒沢清作品ではあるが、『カリスマ』ではホラー要素を薄めてコメディ要素が薄められているためにシュールさが増し過ぎており、そのくせ絵面は地味なので、…

『007/スペクター』

007 スペクター (字幕版) ダニエル・クレイグ Amazon theeigadiary.hatenablog.com 上の記事を書いたときには『スカイフォール』のことをそんなに評価していなかったけれど、『スペクター』を観る前に視返したところ、やっぱり面白かった。「これやるならMCU…

『初恋』+『回路』+『プラットフォーム』

●『初恋』 初恋 窪田正孝 Amazon 公開当初は評判が実によく、カンヌでもなんか評価されていたらしいからけっこう期待して観たのだけれど、ぜんぜんダメだった。昔のタランティーノ的な内容であるけれどあちらを100点としたら30点という感じ。画面の暗さ…

『スウィング・キッズ』+『EXIT』+『エクストリーム・ジョブ』

●『スウィング・キッズ」 スウィング・キッズ(字幕版) D.O. Amazon 朝鮮戦争時の捕虜収容所を舞台としており、タップダンスを通じて北朝鮮兵士のロ・ギス(D.O.)と米軍の黒人兵士のジャクソン(ジャレッド・グライムス)が友情を培っていき、ほかにも中…

『シンデレラ』+『ワインは期待と現実の味』+『ボーダー 二つの世界』+『ラスト・アクション・ヒーロー』+『セルラー』+『女王陛下の007』

●『シンデレラ』 シンデレラ カミラ・カベロ Amazon ノリの良さとお気軽さに振り切った、バカバカしいけど楽しい感じのミュージカル作品。ファンタジー世界でありながらジャネット・ジャクソンやクイーンやマドンナなどのロックミュージックが堂々と流れるし…

『ワウンズ: 呪われたメッセージ』+『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』+『ホテル・ムンバイ』+『リズム・セクション』+『ペイ・フォワード 可能の王国』

●『ワウンズ: 呪われたメッセージ』 www.netflix.com 『レベッカ』に続いてアーミ・ハマー主演のホラー、なおかつ『ザ・コール』に続いて「電話」がキーとなる、Netflixオリジナルのホラー映画。 主人公が拾ったスマホに収められている、生首と学生たちのさ…

『善き人に悪魔は訪れる』+『ザ・ハント』+『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 』

●『善き人に悪魔は訪れる』 善き人に悪魔は訪れる [DVD] イドリス・エルバ Amazon あらすじだけを読むと「なんだかありがちだしほんとうに面白くなるの?」という不安感を抱かされるが、格好いい放題やイドリス・エルバという存在感のある主演俳優に惹かれて…

『007』シリーズ:『ロシアより愛をこめて』+『カジノ・ロワイヤル』+『慰めの報酬』+『スカイフォール』

ロシアより愛をこめて (字幕版) ショーン・コネリー Amazon カジノ・ロワイヤル (字幕版) ダニエル・クレイグ Amazon 007 / 慰めの報酬 (字幕版) ダニエル・クレイグ Amazon 007 / スカイフォール (吹替版) ダニエル・クレイグ Amazon わたしは『007』シ…

『KATE/ケイト』

www.netflix.com 某ポリコレ系ツイッタラーが公開もされていないうちから「日本人差別的な作品だ」と決めつけて文句つけていたので、「それならば褒められるところ探しちゃろ」と逆張り的な気持ちが湧きあがって楽しみになり、公開当日にさっそく観ちゃった。…

『白頭山大噴火』+『新感染』+『新感染半島』+『アーミー・オブ・ザ・デッド』+『トゥモロー・ウォー』

●『白頭山大噴火』 「ハリウッドでもないところのディザスタームービーか…」と尻込みするところもあったが、『モンタナの目撃者』のついでに観れる映画が他になく、噴火と山火事ということでつながっていなくもないから、劇場で鑑賞。 結果的には「噴火」や…

『コブラ会』(シーズン1)

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を観た日の夜にカンフーものが続けてみたくなったので、軽い気持ちを『コブラ会』をシーズン1の1話から観はじめた(正確にはカンフーではなく空手ものだったけれど)。すると、これがめっぽうに面白い。前編である…

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』:主人公がどんな人間なのかさっぱりわからなかった

※このブログのほかのすべての記事と同じく、ネタバレあり。 MCUでは初のアジア系のヒーローということが取り沙汰されている作品であり、日本語圏のTwitterなどでも、いつにもまして"浮かれた"感想が目立っている。 その一方で、昔ながらの映画好きのなかには…

『密航者』+『オキシジェン』+『バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート』

●『密航者』 www.netflix.com 火星への移住のための諸々の研究という重大なミッションを背負った艦長・植物学者・医者の三人組のチームがシャトルに乗っていたところ、工事中だかなんだかで想定外の人物がひとり乗っていることが判明して、それで酸素が足り…

『ザ・コンサルタント』+『ザ・ウェイ・バック』+『ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット』

●『ザ・コンサルタント』 ザ・コンサルタント(字幕版) ベン・アフレック Amazon 2016年の公開当時はイロモノなアクション映画だと思ってあまり期待せずに劇場に観に行ったのだが、観てみたらめっぽうに面白く、年間ベスト級。『イコライザー』や『ジョン…

『レベッカ』&『ベケット』&『シカゴ7裁判』

●『レベッカ』 www.netflix.com ヒッチコック作品のリメイク。昨年に予告を観た時から期待していたし、前半はリリー・ジェームスとアーミー・ハマーの演じるラブロマンスが実に美しくてワクワクしたが、サスペンスがメインとなる後半になってからは尻すぼみ…

『ジェントルメン』&『コードネームU.N.C.L.E』

ジェントルメン [Blu-ray] マシュー・マコノヒー (声:子安武人) Amazon 『ジェントルメン』は公開当時に渋谷の映画館で鑑賞(たしか5月だったかな)。予告編などからはもっと殺伐した内容をそうぞうしていたのだが、意外と人死にの少ない、ゆるくてユーモラ…

『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(+いくつかのクレしん映画+いくつかのディズニー映画+『閃光のハサウェイ』)

昨年の『激突!ラクガキキングダムとほぼ四人の勇者』もそれなりによかったが、こちらのほうがずっとよい*1。脚本的な欠点が見当たらず、制作陣の狙い通りにやりたいことがやれている。ちょっとテクニカルさが鼻につくし、あまりに技巧的なので逆にシラける…

『ロキ』

先の記事ではソフィア・ディ・マルティーノについて辛口の感想を書いたが、『ロキ』についてもわたしはあまり評価できない。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は面白さはともかく「やりたいこと」はわかるし、ソツのない構成であったことはたしかだ。長…

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』:マイノリティとヒーローのジレンマ

www.j-cast.com 四年前に芸人が番組で「ファルコンは弱いからアベンジャーズ空脱退するように説得しよう」という企画を行って、大炎上した。アンソニー・マッキーが演じるファルコンが弱いかどうかはともかく(空を飛べるぶん。ホークアイやナターシャや初代…

『孤狼の血:LEVEL2』

前作のほうがシンプルで王道なので好みであるが、今作も悪くない。松坂桃李が演じる主人公は、前半こそパッとしないものの、後半で弟的な存在が殺されてからの「覚醒」はなかなかのものだ。人のいい顔をした相棒刑事が実は……という展開や、ロクでもなさそう…

『フリー・ガイ』(と『ザ・スーサイド・スクワッド』)

同日公開した『ザ・スーサイド・スクワッド』のついでの前座という扱いで、軽い気持ちで観にいったのだが、予想を遥かに超えてぶっちぎりで今年のベスト*1。ここ数年のエンタメ映画としてもベスト級である。ぶっちゃけたところ俳優陣は主演のライアル・レイ…

『ブラック・ウィドウ』

theeigadiary.hatenablog.com ・わたしはアベンジャーズの面々のなかではブラック・ウィドウがいちばん好きだし、トップクラスに重要なキャラだと思っているので、彼女の単独映画が公開されたのは喜ばしい限り。 ・女性ヒーローが主人公ということで否応なく…

『ゴジラvsコング』

ゴジラvsコング [Blu-ray ※日本語無し](輸入版) -Godzilla vs Kong Blu-ray- Amazon ・ハリウッド版(レジェンダリー版)の『ゴジラ』シリーズは、一作目のギャレス・エドワーズ監督による『GODZILLA ゴジラ』をわたしはもっとも高く評価している。・たしか…