THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

ひとこと感想:『オンリー・ザ・ブレイブ』

 

オンリー・ザ・ブレイブ(字幕版)

オンリー・ザ・ブレイブ(字幕版)

  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 悲劇の実話をベースにした作品なのだが、その実話の悲劇性に引っ張られて、作品としてはかなりつまらなくなってしまっている。

 ネタバレしちゃうと主人公(ジョシュ・ブローリン)を含む山火事消防士たちのチームのほぼ全員は消化作業中に焼死してしまい、新入りの若造(マイルズ・テラー)だけが生き残るというオチだ。

 このクライマックスは30分程度で終わり、わりとあっけない代わりに、映画は2時間以上あってかなり長い。なんでこんなに長くなるかというと、主人公や若造、そのほかの消防士たちの背景の事情を描くこと観客を消防士たちに感情移入させて、それによってオチによる観客のショックを大きくする……という構成であるからだ。しかし、この消防士の人間ドラマパートがまあとにかくダラダラしていてつまらないので「いい加減にせえよ」と思ってしまう。

 冒頭で炎が獣の形になり襲ってくるCGシーンからして「ん?」となったし、主人公とその妻との会話のつまらなさ、若造のあまりにもありきたりな背景事情の陳腐さ(これも実話に基づいているんだったら仕方がないかもしれないけど)、消防士が訓練中に行うホモソーシャルなジョークのしょうもなさ(まあアメリカのブルーカラーの白人男性連中のジョークなんてそんなもんだろうとは思うけどいくらリアルだからってつまんない内輪感を延々と描かれたらたまったものじゃない)、などなどでどんどん「この映画ダメなんじゃないか」という悪寒がつのっていく(バーベキューのあたりでその悪寒が頂点になった)。

 同じ内容でもエピソードを取捨選択して90分にまとめられていたらよっぽどマシな作品になっていたはずだ。『ボストン・ストロング:ダメな僕だから英雄になれた』を観たときにも思ったが、いくら悲劇の実話に基づいた作品であるからといって、なんの工夫もなく(あるいは、ダサくてセンスのない工夫しかせずに)実話をそのまま描かれても映画として面白くないし、肝心の実話の部分すら印象に残らなくなる(か、「つまんない映画見させられたな」という記憶とセットになって印象が悪くなる)のだ。