THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『ゾンビランド』&『ゾンビランド:ダブルタップ』

 

 

 

 

ゾンビランド』は公開の翌年にDVDを借りて観たから10年ぶり(当時から興味があって劇場で見たかったのだけれど、京都の映画館ではやっていないから梅田まで行く必要があってそれで諦めた思い出がある)。今回は『ダブルタップ』と続けて視聴した。

 

 評判の良い作品であり、一作目と二作目の両方ともゾンビ映画のベストとしてあげられているのをよく見かけるが、10年前の時点から、わたしはこの作品を対して評価していないのに。ウディ・ハレルソン演じるタラハシー のキャラクターは魅力的であり、 ジェシー・アイゼンバーグ演じる主人公のコロンバスが彼と出会って、エマ・ストーン演じるウィチタとも紆余曲折ありつつ呉越同舟という感じで同じ車に乗り合わせる、までのくだりはテンポもよくオリジナリティがあって楽しい。「生き残るためのルール」がテロップで挿入されるくだりも軽快だし、ゾンビ者としてのサバイバル要素や緊張感が失われていないところがキモとなっている。しかし、ビル・マーレイの家を訪ねるくだりからは、悪い意味であまりにコメディに寄りすぎて、ダラダラと弛緩した作品になってしまう。10年前も今回も、遊園地という舞台でクライマックスを迎える頃にはすっかり作品に興味を無くしてしまった。

 惰性で続けて観た『ゾンビランド:ダブルタップ』も、前作とまったく同じく、中盤まではそれなりに面白いんだけれど後半になると弛緩し過ぎてつまらない、という有り様になっている。キャラも無駄に増え過ぎていて、ゾーイ・ドゥイッチ演じるマディソンはおバカでエッチで可愛いけれど、他のキャラは余計に感じられた。

 ゾンビものを題材にしたコメディ映画という点では、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のほうがギャグも笑えてテンポも良くて緊張感もあって圧倒的に面白い。『ゾンビランド』の"ゆるい"感じの笑いにはすぐに飽きてしまう。エンディングの後の、ビル・マーレイが登場する「楽屋裏」的なネタもかなりひどいもの。そういう点では、同じくビル・マーレイが出演している、『デッド・ドント・ダイ』とも悪い意味で似通っている*1

 結局のところ、この映画が人気なのは、ウディ・ハレルソンジェシー・アイゼンバーグエマ・ストーンと「映画好き」な人たちが特に好むタイプの俳優を揃えてわちゃわちゃ絡み合わせてコメディをやらせるという、「俳優萌え」を楽しめるからであろう。まあたしかにウディ・ハレルソンが擬似家族の父親役をやるというのは面白いし、ジェシー・アイゼンバーグとの絡みも新鮮で楽しい。でもどうせだったらゾンビ要素抜きにして普通のコメディ映画にしちゃったほうがいいんじゃないかなあ。