ひとこと感想:『白い闇の女』、『危険なメソッド』
●『白い闇の女』
サスペンス映画というものは当たり外れが激しいものではあるが、これは明確なハズレ。記者のポーター(エイドリアン・ブロディ)が未亡人キャロライン(イヴォンヌ・ストラホフスキー)と知り合って、彼女の夫サイモン(キャンベル・スコット)の死に関わる真相を探って行くうちに誘惑されて肉体関係を結んでしまいそのせいで家庭を失って……みたいなストーリーなのだが、官能的な展開になるわりにはキャロラインは言うほど悪女ではないし、ポーターもそこまで危険な目に合わないし、隠された真相も大したものではないしで、とにかく見所が存在しない感じの作品だ。ジャッキー・チェンが制作に関わっているらしいが、そのせいでしまりのない作品になっているのかもしれない。
あと、なぜか途中までウィリアム・アイリッシュの『幻の女』を原作にしたものだと勘違いしていたが、全く違った。
●『危険なメソッド』
公開当時から興味を抱きつつ見る機会がなくて、ついに視聴してみたのだが、存外につまらない。ユングがマイケル・ファスベンダー、フロイトがヴィゴ・モーテンセン、そしてザビーナがキーラ・ナイトレイという豪華なキャストであり、「精神分析」という興味深いテーマを扱っているのに、肝心の人間ドラマがつまらなさ過ぎる。
そして、キーラ・ナイトレイの演技がいくらなんでも異物感がひど過ぎる。「非難ごうごう!? キーラ・ナイトレイの大げさすぎるアゴ演技の真相とは?」とひどい言われようだが、まさに「アゴ演技」としか言いようがない。いちおう実際の精神病患者がやりがちな表情を再現したものではあるらしいが「ほんとかよ」って感じだし、また、某所では精神分析を扱った映画らしくこのアゴがペニスのメタファーになっているとの解釈を見た(こっちの方がまだありそうだ)。