THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

恋愛

『SPY』+『メリーに首ったけ』

●『SPY』 SPY/スパイ (字幕版) ローズ・バーン Amazon ジェームズ・ボンド的なイメンスパイであるジュード・ロウの補佐役をやっていた主人公のメリッサ・マッカーシーが、復讐のためにスパイ活動に志願したところ意外な才覚が判明して、そんでヌケてるコメデ…

『エターナルズ』:多様性と人間中心主義

マーベル映画の「ポリコレ性」についてはこのブログでも何度か論じてきたが、基本的に、『ブラックパンサー』や『シャン・チー』のように「主流派の文化やアイデンティティとは異なる文化やアイデンティティが秘めている魅力やパワー」を強調した、ポジティ…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』:ボンドが「有害な男らしさ」から脱却しちゃった

一年半も公開が引き延ばされたクレイグボンドの最終作を、満を持して鑑賞。事前にPrimeVideoで007シリーズが前作配信されたことでクレイグボンドの過去作品を観返すことができて、ヒロインのバックグラウンドとか「ミスター・ホワイト」というキャラクターが…

『容疑者Xの献身』&『舟を編む』

●『容疑者Xの献身』 容疑者Xの献身 福山雅治 Amazon ずっと前にネットで情報を見たか友人からネタバレされたかでメインのトリックは知っていたんだけれど、そこを前もって知っていても特に面白さに支障がないタイプの映画で、そこはよかった。 要するに、北…

『初恋』+『回路』+『プラットフォーム』

●『初恋』 初恋 窪田正孝 Amazon 公開当初は評判が実によく、カンヌでもなんか評価されていたらしいからけっこう期待して観たのだけれど、ぜんぜんダメだった。昔のタランティーノ的な内容であるけれどあちらを100点としたら30点という感じ。画面の暗さ…

『レミニセンス』

『インセプション』を連想させるような予告が話題であるが、過去にとらわれるかどうかというエンディングはたしかに『インセプション』を想起させる。そして、『インセプション』の最大の感動はレオナルド・ディカプリオ演じる主人公が夢(=亡き妻との過去…

『シンデレラ』+『ワインは期待と現実の味』+『ボーダー 二つの世界』+『ラスト・アクション・ヒーロー』+『セルラー』+『女王陛下の007』

●『シンデレラ』 シンデレラ カミラ・カベロ Amazon ノリの良さとお気軽さに振り切った、バカバカしいけど楽しい感じのミュージカル作品。ファンタジー世界でありながらジャネット・ジャクソンやクイーンやマドンナなどのロックミュージックが堂々と流れるし…

『007』シリーズ:『ロシアより愛をこめて』+『カジノ・ロワイヤル』+『慰めの報酬』+『スカイフォール』

ロシアより愛をこめて (字幕版) ショーン・コネリー Amazon カジノ・ロワイヤル (字幕版) ダニエル・クレイグ Amazon 007 / 慰めの報酬 (字幕版) ダニエル・クレイグ Amazon 007 / スカイフォール (吹替版) ダニエル・クレイグ Amazon わたしは『007』シ…

『ロング・ショット』&『ミッドナイト・スカイ』&『チェリー』&『真実の行方』

●『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』 ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(字幕版) シャーリーズ・セロン Amazon 同じジョナサン・レヴィン監督の『50/50』は面白かったし*1、シャリーズ・セロンという豪華な女優を起用していたり「年上エリ…

『ロキ』

先の記事ではソフィア・ディ・マルティーノについて辛口の感想を書いたが、『ロキ』についてもわたしはあまり評価できない。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は面白さはともかく「やりたいこと」はわかるし、ソツのない構成であったことはたしかだ。長…

『ラビング 愛という名前のふたり』

ラビング 愛という名前のふたり(字幕版) ジョエル・エドガートン Amazon 異人種間結婚が禁止されていた時代のアメリカで結婚をした白人の夫リチャード(ジョエル・エドガートン)と黒人の妻ミルドレッド(ルース・ネッガ)が経験した苦難や行った裁判が題材…

『ワンダーウーマン1984』

劇場に映画を観に行ったのは黒沢清監督の『スパイの妻』以来で、およそ二ヶ月ぶり*1。 わたしはマーベル映画のなかでは『キャプテン・マーベル』がいちばん嫌いなのだが*2、逆に、この映画の前作の『ワンダーウーマン』はDC映画のなかでもいちばん好きな作品…

ひとこと感想:『白い闇の女』、『危険なメソッド』

●『白い闇の女』 白い闇の女(字幕版) 発売日: 2017/09/06 メディア: Prime Video サスペンス映画というものは当たり外れが激しいものではあるが、これは明確なハズレ。記者のポーター(エイドリアン・ブロディ)が未亡人キャロライン(イヴォンヌ・ストラホ…

『ソーシャル・ネットワーク』

ソーシャル・ネットワーク (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 2010年の劇場公開当時以来なので、ちょうど10年ぶりの再視聴。フィンチャーの作品は『セブン』にせよ『ゴーン・ガール』にせよ再視聴してみると「こんなに面白かったんだ」と驚…

ひとこと感想:『メアリーの総て』&『ケーブル・ガイ』

●『メアリーの総て』 メアリーの総て(字幕版) 発売日: 2019/05/21 メディア: Prime Video わたしが学部生時代には英米文学を専攻していたことは『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』の感想で書いたが、アメリカ文学のゼミに入っていたとは…

『死ぬまでにしたい10のこと』

死ぬまでにしたい10のこと(字幕版) 発売日: 2016/02/01 メディア: Prime Video ガンで余命2カ月を宣告されてしまった23歳のアン(サラ・ポーター)は、「死ぬまでにしたい10のこと」のリストを書き出してそれを実行しようと生きることにした。リストには「娘…

『レボリューショナリー・ロード:燃え尽きるまで』

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video サム・メンデス監督の作品は『007』シリーズ二作や『1917』*1は観ているが、それ以前の作品を見るのは、実はこれが初めてだ。 話の内容としては、不満や焦…

『ラスト・クリスマス』

ラスト・クリスマス (字幕版) 発売日: 2020/02/20 メディア: Prime Video 2016年版の『ゴーストバスターズ』や『シンプル・フェイバー』のポール・フェイグ監督。丸っこい顔に弾けんばかりの笑顔にすぐに八の字になる眉が特徴なヒロインのケイトはエミリア・…

『イエスタデイ』

イエスタデイ (字幕版) 発売日: 2020/04/08 メディア: Prime Video 音楽教師の職を辞めてイギリスの小さな町のディスカウントストアで働きながら冴えないミュージシャンをやっているジャック(ヒメーシュ・パテル)は、ある奇妙な停電が起こった夜にバスに轢…

『ブックスマート:卒業前夜のパーティーデビュー』:「誰も傷つけない笑い」が排除するもの

カリフォルニアのハイスクールに通うモリー(ビーニー・フェルドスタイン)とエイミー(ケイトリン・ディーヴァー)は、良い大学に進学するために遊びには目もくれずに勉強に明け暮れていた。その甲斐もあってモリーはイェール大学への進学が決定していたし…

ひとこと感想:『殺人狂時代』、『マーウェン』

●『殺人狂時代』 殺人狂時代 発売日: 2015/07/01 メディア: Prime Video おなじ岡本喜八監督作の『日本のいちばん長い日』はシリアスな題材を描き切った名作であったが、ブラックでスラップスティックなコメディ作品であるこちらは「賞味期限切れ」という感…

『シンプル・フェイバー』&『マイレージ、マイライフ』

●『シンプル・フェイバー』 シンプル・フェイバー(字幕版) 発売日: 2019/07/10 メディア: Prime Video お節介焼きでお人好しで気が弱いシングルマザーでありステファニー(アナ・ケンドリック)は、おしゃれで酒好きでアパレル会社のPRディレクターをしてい…

『インセプション』:チームワーク映画の皮を被った純愛映画?

インセプション (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video iMAXで上映中なので、TOHOシネマズ新宿で鑑賞。2010年の公開当時に見に行ったきりだから、ちょうど10年ぶりだ。しかし、映像がウリのこの作品ではあるが『ダークナイト』や『ダンケルク』…

「普通の人でいいのに!」:"繊細さ"と被害者意識と文学性

comic-days.com 数週間前に、話題になった作品だ。批判意見や拒否反応も多い一方で、「共感できた」とか「実際に東京にいそうな人物をリアルに描けている」という肯定意見もちらほらと見かける。 わたしが最初に流し読みしたときには、あまりに赤裸々な内容…

『はちどり』

1994年を舞台に、韓国の首都ソウルに住む14歳の女の子、ウニ(パク・ジフ)がロクでもない家族に苦しめられたり友人関係や恋愛で色々とつらい目にあったりしながら憧れの先生なんかと出会っちゃったりしていいことも多少はある、というそんな感じの映画。キ…

ホラー映画と、セックスに対する懲罰(『イット・フォローズ』)

イット・フォローズ(字幕版) 発売日: 2016/06/22 メディア: Prime Video コロナ騒ぎが起こる前の今年の初頭に『ミッドサマー』がTwitterでアホみたいな騒がれ方をしたことは記憶にあたらしいが、あの作品は単にフックとなる要素が多くてTwitterで映画作品を…

『一人称単数』:「こういうの書いたらお前ら喜ぶんでしょ」というやる気のなさが強い、創造力を枯らした老人の短編集

一人称単数 (文春e-book) 作者:村上 春樹 発売日: 2020/07/18 メディア: Kindle版 村上春樹の最新刊。Amazonほしいものリストからいただいたので、ありがたく読んだ。 わたしは高校生時代から村上春樹のファンで、このブログやnoteなどでも何度か村上春樹に…

ひとこと感想:『29歳からの恋とセックス』&『五瓣の椿』&『チェイシング・エイミー』

●『29歳からの恋とセックス』 29歳からの恋とセックス (吹替版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video グレタ・ガーウィグが主演ということで観たが、タイトル通り、29歳になっても人生の方向性が決まらず、高校の頃から付き合っていて婚約までいった唯…

ひとこと感想:『風の谷のナウシカ』、『若おかみは小学生!』、『さびしんぼう』

●『風の谷のナウシカ』 風の谷のナウシカ [Blu-ray] 発売日: 2010/07/14 メディア: エレクトロニクス リバイバル上映で安いので、新宿ピカデリーで鑑賞。高校生くらいの頃にテレビで放送したのを観て以来だから、まあだいたい10年以上ぶりの鑑賞だ。 友人と…

ひとこと感想:『ラヴレース』、『影の車』、『ダイヤルMを廻せ! 』

●『ラヴレース』 ラヴレース(字幕版) 発売日: 2014/11/02 メディア: Prime Video お気に入りの女優であるアマンダ・サイフリッドが主演しているので視聴した。1970年代のポルノ業界を題材にした映画ということで見る前から『ブギーナイツ』を連想したし…