THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『KATE/ケイト』

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 某ポリコレ系ツイッタラーが公開もされていないうちから「日本人差別的な作品だ」と決めつけて文句つけていたので、「それならば褒められるところ探しちゃろ」と逆張り的な気持ちが湧きあがって楽しみになり、公開当日にさっそく観ちゃった。

 で、観た結果はというと……たしかに日本に対するステレオタイプ的な描写はてんこ盛りだし、『ジョン・ウィック』的な冷徹殺しアクションがウリであるがために、白人女性が日本人ヤクザたちを切った張ったする穏やかではない場面がたびたび登場するのもよろしくないところだ(とはいえメアリー・エリザベス・ウィンステッド演じる主人公が女性であること、また「放射性物質を体内に入れられて一刻ごとに身体がボロボロになっていく」という設定により映画が後半になるにつれて痛々しい見た目になっていく点で、よろしくなさが中和されているとはいえる)。

 日本人キャストは多数登場するが、國村隼を除けば美味しい役柄はなく、最終的な敵役は(誰しもが映画の序盤から予想が付くように)ウディ・ハレルソンであり主人公とボス敵との親子喧嘩に日本ヤクザたちが巻き込まれているだけなストーリー展開も、あんまりよいものではないだろう。

 

 とはいえ気軽でトンチキなアクション映画だと思えば悪くない。殺陣やガンアクションは現代の作品として求められるハードルをちゃんとクリアしているし、白黒な障子に鮮血が見栄えする料亭での殺戮シーンは確かに日本を舞台にしないと撮れないようなものであるだろう。途中で出てくるヤクザの娘っ子のハーフ足手まといヒロインはウザいことこのうえないが、ケイトは特徴は薄いもののヒロインとして過不足ない。女性主人公としては珍しいくらいに悲壮な運命を背負わされているために、彼女による殺戮シーンも嫌味なものではなくなっている。

 冒頭のバニラカーや途中で登場するコンビニ、渋谷に新宿の風景など、現代のリアルな日本を舞台にしている……と思いきやサイバーパンク的なまでにピンクなネオンが煌めく、「ハリウッド映画にありがちな日本」になっているのは残念なところ。ビルの一面に『東京喰種』のアニメが映されている様子を背景としながら主人公がスナイプするシーンは独特でおもしろかったけれど。