THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『闇はささやく』

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 いかにもつまらなそうな作品だったけれど、わたしの大好きなアマンダ・セイフリッドが出演しているので視聴。予想通りにつまらなかったし、後半は意味不明な領域に入っていたけれど、アマンダ・セイフリッドが主婦らしい素朴な格好をしているところや、幽霊屋敷で起こる怪奇現象にビビっているところは可愛らしくてよかった。あと後半で若い男の子と「おねショタ」的なエッチな展開になるところは思わず「うらやましい」ってつぶやいちゃった。

 ジェームズ・ノートンが演じる旦那は不誠実さと小物っぽさと不気味さが折り混じったネットリしたイヤ〜な男という雰囲気がすごく、作品の狙い通りに、冒頭から生理的不快感を抱かせてくれる。また、数々の映画で「不倫」が描かれるなかでも、アマンダ・セイフリッドという美人妻がいてしかも娘がすぐに近くにいるというのに自分の生徒に色目をつかって不倫を誘い、あまつさえその誘いが失敗して生徒にたしなめられる、というあまりにも情けなくてそしてきっちり不道徳的で不愉快な「不倫」の描き方はかなり強烈で印象的。「不倫って絶対ダメだな」としみじみと思わせてくれるので教育的で素晴らしい。

 話の内容としてはアメリカ映画によくある「幽霊屋敷」もので、ホラーというよりもオカルト要素を重視しているために怖さもほとんどないが、アメリカらしい「伝統」の重んじられ方は面白かったし、降霊術が身近にあるという時代性もちょっと独特でよい。下記の記事で論じられているように、スウェーデンボルグやジョージ・イネスなどをはじめとする思想や芸術や文学の世界と接続されている、「文化的」な映画であることは間違いないだろう。映画を貫いている独特の死生観のために、アマンダ・セイフリッドが死んじゃっても悲劇ではないというところも、後味が悪くなくてありがたい。

 ……とはいえ、オリジナリティはありながらも、そのオリジナリティを活かせるほどに魅力的な脚本にはなっていないし、画面的にも凡庸であったりチープであったりする。つまり、この作品が目指したがっている「高尚さ」に、作品そのものの力量が追いついていないのだ。

 

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