THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

雑感

韓国映画は英語吹き替えで観ることにした(『ザ・コール』)

www.netflix.com 在日アメリカ人であり子供の頃から「家のなかでは英語、外では日本語」という風に暮らしてきたわたしは、逆説的に、語学に関してハンディキャップを持っている。ふつうの日本人であれば中学校から大学まで苦労しながらイヤイヤ英語を勉強さ…

『一人称単数』:「こういうの書いたらお前ら喜ぶんでしょ」というやる気のなさが強い、創造力を枯らした老人の短編集

一人称単数 (文春e-book) 作者:村上 春樹 発売日: 2020/07/18 メディア: Kindle版 村上春樹の最新刊。Amazonほしいものリストからいただいたので、ありがたく読んだ。 わたしは高校生時代から村上春樹のファンで、このブログやnoteなどでも何度か村上春樹に…

ポリコレは物語の質を上げて多様性を確保する…のか?

theeigadiary.hatenablog.com theeigadiary.hatenablog.com 以前にも似たようなことを書いているが、改めて。今回は特に長い。 ●まえおき ネットでは「創作物とポリコレ」とか「表現規制とポリコレ」という話題は定期的に盛り上がる。それも、数ヶ月に一度ど…

『東京物語』

東京物語 ニューデジタルリマスター 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video この作品を最初に見たのは(例によって)10年以上前の大学生の頃だ。立命館大学の図書館には視聴覚コーナーがあって、けっこう気軽にDVDをその場で借りて見ることができたので…

ひとこと感想:『ディア・ハンター』

ディア・ハンター (字幕版) メディア: Prime Video 18歳だか19歳だかの学生時代に見たときにはえらく感想した思い出があるのだが、21歳くらいの時に再視聴したときは「初めて見た時に比べてなんだかつまらないな」と思った記憶もある。それから10年後の31歳…

『連ちゃんパパ』

凪待ち 発売日: 2020/02/20 メディア: Prime Video Twitterで話題になっていて、無料で読めるということもあり、ついつい最後まで一気読みしてしまった。 togetter.com 上記のTogetterの題名をはじめとして、Twitterでは「連ちゃんパパを読んだうえで、主人…

Netflixオリジナル映画は小品がオススメ

自分に対しての備忘録的な意味合いが主な、メモ的な記事。 ある時期まで、"Netflixオリジナル作品"に対するわたしの印象はかなり悪かった。鑑賞した作品がどれもことごとくつまらなかったからだ。最初に鑑賞した『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』はその…

物語における「現代の価値観で過去を裁く」ことについて

「死んでしまえばそれまで」と言えばそれまでだが…今のお偉いさん達って「自分が後世の漫画家や映画作家に、ずっと悪役として描かれる」ことの恐怖ってないのかしら。百五十年前に「黒人や女に投票権を与える?本気かよ?」と言った米国の政治家達。みんな写…

わたしが「続きものドラマ」が嫌いな理由

#5 インサイドストーリー(字幕版) メディア: Prime Video このブログでは以前に『となりのサインフェルド』や『そりゃないぜ!?フレイジャー』を紹介したことがあるし、他にも『フレンズ』などのシットコムは好きである*1。また、10代の頃には『刑事コロ…

「アベンジャーズ」関係作品(MCU映画):ランキングと総評

アベンジャーズ (吹替版) 発売日: 2013/12/19 メディア: Prime Video まず、MCU映画の私的なランキングは以下の通りになる。ランキングの基準は「個人的な好み」「客観的なクオリティやレベルの高さ」に加えて「単独作品としての完成度の高さ」である。いく…

ブラック・ウィドウは「冷蔵庫の女」か?

アベンジャーズ/エンドゲーム(字幕版) 発売日: 2019/09/04 メディア: Prime Video ちょうど1年前の話題になってしまうが、MCU作品を一気に見返しているうちにちょっと考えてみたので書いてみよう。 以下は『アベンジャーズ/エンドゲーム』や『アベンジャ…

Twitterにおける映画感想がダメなものになりがちな理由

theeigadiary.hatenablog.com 昨日はノア・バームバック監督の『イカとクジラ』を観た。映画自体は大したものではなかったしむしろ不愉快なくらいの作品であったが、上記の記事で書いたように、この映画に関する「みんなのシネマレビュー」の批評を眺めてい…

村上春樹の「ファミリー・アフェア」

パン屋再襲撃 (文春文庫) 作者:村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/10/07 メディア: Kindle版 短編小説の感想というものは書くのが難しいものだし、特別なオチやトリックが用意されている作品でもなければテーマなどが明確に設定されていない…

映画作品の「良さ」と、視聴者の「共感」について

ユー・キャン・カウント・オン・ミー (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video いまは失業中で時間があるので、これを機会にHuluやdTVなどの普段利用しないサブスクリプションサービスの無料期間を利用しつつ、映画をたくさん見ている。しかし、…