THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

フェミニズム

2021年:映画ベスト10&ワースト5

感想記事を書いた映画については感想記事へのリンクを貼ってます。『ドント・ルック・アップ』と『ラストナイト・イン・ソーホー』の感想記事もそのうち書く。 1位:フリー・ガイ 2位:モーリタニアン 黒塗りの記録 3位:ラストナイト・イン・ソーホー 4…

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

実は同性愛者であるベネディクト・カンバーバッチが底意地の悪い「家父長」を演じながら弟の嫁(ジェシー・プレモンズ)の嫁のキルティン・ダンストをねちねちといじめて、ナヨナヨしている嫁の連れ子のコディ・スミット=マクフィーのこともいびろうとした…

『アナライズ・ミー』&『アナライズ・ユー』

アナライズ・ミー [DVD] ビリー・クリスタル Amazon アナライズ・ユー (字幕版) ロバート・デ・ニーロ Amazon ロバート・デ・ニーロ演じるマフィアのボスが少年のときに父親を亡くしたトラウマからパニック障害を発症したが、「男らしい」マフィアの世界では…

『ザ・ベビーシッター』&『ザ・ベビーシッター ~キラークイーン』

www.netflix.com www.netflix.com 『ザ・ベビーシッター』のほうは、たしか2017年くらいに「エッチなシーンあるかなあ」と思って序盤に早送りしたけれどエッチなシーンはなさそうだったから見るのやめた。今回はハロウィンということで、『~キラークイーン…

『最後の決闘裁判』:価値観を"揺さぶる"のではなく、価値観を"確認する"作品

まず書いておくと、この映画を観たのは公開の翌週の日曜日だ。そして、たった一週間とはいえ、(完成度の高い名作であり、人が言及したがる内容のために)Twitterで様々な感想が目に入ってしまい、明確なネタバレはなかったけれど「どういう作品であるか」と…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』:ボンドが「有害な男らしさ」から脱却しちゃった

一年半も公開が引き延ばされたクレイグボンドの最終作を、満を持して鑑賞。事前にPrimeVideoで007シリーズが前作配信されたことでクレイグボンドの過去作品を観返すことができて、ヒロインのバックグラウンドとか「ミスター・ホワイト」というキャラクターが…

『フィアー・ストリート』三部作

www.netflix.com 一作目を観たところで男性キャラクターの扱いの悪さとレズビアン推しにイヤな予感がして、検索したところ案の定、「ホラー映画のミソジニー性や異性愛規範」を批評的に反転させてシスターフッドやフェミニズムを描いているなんたらかんたら…

『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(+いくつかのクレしん映画+いくつかのディズニー映画+『閃光のハサウェイ』)

昨年の『激突!ラクガキキングダムとほぼ四人の勇者』もそれなりによかったが、こちらのほうがずっとよい*1。脚本的な欠点が見当たらず、制作陣の狙い通りにやりたいことがやれている。ちょっとテクニカルさが鼻につくし、あまりに技巧的なので逆にシラける…

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』:マイノリティとヒーローのジレンマ

www.j-cast.com 四年前に芸人が番組で「ファルコンは弱いからアベンジャーズ空脱退するように説得しよう」という企画を行って、大炎上した。アンソニー・マッキーが演じるファルコンが弱いかどうかはともかく(空を飛べるぶん。ホークアイやナターシャや初代…

『ドライブ・マイ・カー』(+『マディソン郡の橋』)

中盤までは展開がそれなりに予測できず、それなりにオリジナリティのある絵面が多く、新鮮味があって楽しい。手話を含む多言語が飛び交う「台本」読みのシーンや、韓国人夫婦の家にお呼ばれして食事をするシーンなどは他の映画ではほとんど見ることのないよ…

『ブラック・ウィドウ』

theeigadiary.hatenablog.com ・わたしはアベンジャーズの面々のなかではブラック・ウィドウがいちばん好きだし、トップクラスに重要なキャラだと思っているので、彼女の単独映画が公開されたのは喜ばしい限り。 ・女性ヒーローが主人公ということで否応なく…

『ワンダーウーマン1984』

劇場に映画を観に行ったのは黒沢清監督の『スパイの妻』以来で、およそ二ヶ月ぶり*1。 わたしはマーベル映画のなかでは『キャプテン・マーベル』がいちばん嫌いなのだが*2、逆に、この映画の前作の『ワンダーウーマン』はDC映画のなかでもいちばん好きな作品…

ひとこと感想:『最高の人生の見つけ方』、『アイ・アム・マザー』、『ニンジャバットマン』

●『最高の人生の見つけ方』 最高の人生の見つけ方 (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video かなり有名な映画ではあるのだが、わたしはこれまで未見で、今回はじめて視聴した。 評価の高い映画であると思ってけっこう楽しみにしてとっておいたし…

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video スピルバーグは一部の例外はあれど好きであるし、トム・ハンクスもレオナルド・ディカプリオも好きであるのだが、この作品はどうにも好きになれない。 好きになれな…

ひとこと感想:『メアリーの総て』&『ケーブル・ガイ』

●『メアリーの総て』 メアリーの総て(字幕版) 発売日: 2019/05/21 メディア: Prime Video わたしが学部生時代には英米文学を専攻していたことは『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』の感想で書いたが、アメリカ文学のゼミに入っていたとは…

『ファイト・クラブ』

Fight Club (字幕版) メディア: Prime Video ジョセフ・ヒースの『反逆の神話』を読んでいるうちに観たくなったので、10年ぶりくらいに再視聴。 ヒースが指摘しているようにいまでは陳腐化したカウンターカルチャーの価値観が多少作品に反映されているので、…

『ブックスマート:卒業前夜のパーティーデビュー』:「誰も傷つけない笑い」が排除するもの

カリフォルニアのハイスクールに通うモリー(ビーニー・フェルドスタイン)とエイミー(ケイトリン・ディーヴァー)は、良い大学に進学するために遊びには目もくれずに勉強に明け暮れていた。その甲斐もあってモリーはイェール大学への進学が決定していたし…

『透明人間』

ポール・バーホーベン監督でケビン・ベーコン主演の『インビジブル』は、子供のころに金曜ロードショーかなにかでテレビ上映していたのをたまたま親と一緒に観たのだが、あまりにエログロが多くて非常に気まずくなったという嫌な思い出しかない。 大人気漫画…

『はちどり』

1994年を舞台に、韓国の首都ソウルに住む14歳の女の子、ウニ(パク・ジフ)がロクでもない家族に苦しめられたり友人関係や恋愛で色々とつらい目にあったりしながら憧れの先生なんかと出会っちゃったりしていいことも多少はある、というそんな感じの映画。キ…

ホラー映画と、セックスに対する懲罰(『イット・フォローズ』)

イット・フォローズ(字幕版) 発売日: 2016/06/22 メディア: Prime Video コロナ騒ぎが起こる前の今年の初頭に『ミッドサマー』がTwitterでアホみたいな騒がれ方をしたことは記憶にあたらしいが、あの作品は単にフックとなる要素が多くてTwitterで映画作品を…

ひとこと感想:『29歳からの恋とセックス』&『五瓣の椿』&『チェイシング・エイミー』

●『29歳からの恋とセックス』 29歳からの恋とセックス (吹替版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video グレタ・ガーウィグが主演ということで観たが、タイトル通り、29歳になっても人生の方向性が決まらず、高校の頃から付き合っていて婚約までいった唯…

『ドラゴン・タトゥーの女』

ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video デビッド・フィンチャー監督作品。男性主人公のミカエルをダニエル・クレイグが、女性主人公のリスベットをルーニー・マーラーが演じる。とはいえ、ミカエルは真面目な正義感で好…

ひとこと感想:『ラヴレース』、『影の車』、『ダイヤルMを廻せ! 』

●『ラヴレース』 ラヴレース(字幕版) 発売日: 2014/11/02 メディア: Prime Video お気に入りの女優であるアマンダ・サイフリッドが主演しているので視聴した。1970年代のポルノ業界を題材にした映画ということで見る前から『ブギーナイツ』を連想したし…

ひとこと感想:『ディア・グランパ:幸せを拾った日』、『雨に願いを』、『アドバンテージ:母がくれたもの』

毎年、梅雨の時期になると体調が悪くなって頭痛や倦怠感に苛まれる。今年は飲酒量をかなり抑えているので例年よりかはマシなのだが、それでも、朝に起きた時点で曇り空でジメジメしている日は気分も晴れずに頭もまわらない。 毎日朝と晩に映画を見ることを習…

ひとこと感想:『アリー/スター誕生』『シントイア・ブラウン: 裁きと赦し』『成果』

●『アリー/スター誕生』 アリー/ スター誕生(字幕版) 発売日: 2019/04/03 メディア: Prime Video なんかやたらと古臭いストーリー展開だなと思ったら大昔の映画のリメイク作品であると知って、さもありなんと思った。 アリー(レディー・ガガ)の歌を聞いた…

『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』

若草物語 (福音館文庫 古典童話) 作者:L.M. オールコット 発売日: 2004/06/15 メディア: 単行本 『若草物語』はわたしにとってもちょっと思い出深い作品である。なぜかというと、アメリカ文学専攻であった大学生時代、三年生のときのゼミで前期まるまるをか…

『20センチュリー・ウーマン』

20 センチュリー・ウーマン(字幕版) 発売日: 2017/11/22 メディア: Prime Video 1970年代のカリフォルニア州サンタバーバラを舞台に、シングルマザーのドロシー・フィールズ(アネット・ベニング)とその息子のジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)、…

『ダンプリン』

www.netflix.com テキサスにある小さな田舎町、ブルーボネットに住むウィローディーン・ディクソン(ダニエル・マクドナルド)は丸々と肉付きのよい女子高生で、友人からは「ウィル」と呼ばれていて、母親のロジー(ジェニファー・アニストン)から付けられ…

『ロストガールズ』

www.netflix.com 実際にあった、ロングアイランドの連続殺人鬼事件を題材にした作品だ。未解決事件を題材にしているので犯人は明示されず、被害者遺族たちの視点から描かれている。余談だが、このロングアイランドの連続殺人鬼事件についてはメディア系の前…

『塔の上のラプンツェル』

塔の上のラプンツェル (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video マーベル映画を一気に観返そうと思ってディズニー・デラックスの無料期間を試したわけだが、せっかくだからマーベル以外の作品も見ようとピクサーの作品やスターウォーズ系の作品な…