THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

アメリカ

『ラビング 愛という名前のふたり』

ラビング 愛という名前のふたり(字幕版) ジョエル・エドガートン Amazon 異人種間結婚が禁止されていた時代のアメリカで結婚をした白人の夫リチャード(ジョエル・エドガートン)と黒人の妻ミルドレッド(ルース・ネッガ)が経験した苦難や行った裁判が題材…

『TENET テネット』:設定や構成が難しいのは置いておいて、人間ドラマやテーマが描けていない

コロナ禍による大作映画の公開延期と『TENET テネット』公開前の盛り上げということが重なって、2020年は7月からノーランの過去作品のIMAX上映が続いた。 もともと自分のなかの生涯ベスト級作品であった『ダークナイト』はIMAXで観てみるとこれまでとは…

ひとこと感想:『7番房の奇跡』&『羊飼いと屠殺者』&『LOOPER/ルーパー』

●『7番房の奇跡』 www.netflix.com もともとは韓国映画だが、トルコでリメイクされたバージョンを鑑賞。トルコ映画なんかなんてなかなか見る機会がないし、「ファンタジー色や感動色が強すぎる韓国版よりも抑えめなトルコ版の方が面白い」という評判を見か…

『シャイニング』&『ドクター・スリープ』

『シャイニング』は五つ星、『ドクター・スリープ』は二つ星。 ●『シャイニング』 シャイニング (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video いまでは大半のホラー映画はそんなに怖くなく見れるし夜におシャワーしたりおトイレに行くときにもホラー…

『インターステラー』

インターステラー(字幕版) 発売日: 2015/03/25 メディア: Prime Video 2014年の公開当時には、もちろん劇場に観に行った。しかし、ノーラン映画のなかでもとりわけ複雑な構成をした作品だということもあり、観た当時は何が起きているか正直よくわからない部…

ひとこと感想:『最高の人生の見つけ方』、『アイ・アム・マザー』、『ニンジャバットマン』

●『最高の人生の見つけ方』 最高の人生の見つけ方 (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video かなり有名な映画ではあるのだが、わたしはこれまで未見で、今回はじめて視聴した。 評価の高い映画であると思ってけっこう楽しみにしてとっておいたし…

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video スピルバーグは一部の例外はあれど好きであるし、トム・ハンクスもレオナルド・ディカプリオも好きであるのだが、この作品はどうにも好きになれない。 好きになれな…

『幸せへのまわり道』

実績を出しているやり手ではあるがシニカルで批判的なジャーナリストのロイド・ヴォーゲル(マシュー・リス)は、雇い主の命令で子ども番組の司会者であるフレッド・ロジャース(トム・ハンクス)を書くことになる。はじめは「子どもだましな番組を作ってい…

ひとこと感想:『白い闇の女』、『危険なメソッド』

●『白い闇の女』 白い闇の女(字幕版) 発売日: 2017/09/06 メディア: Prime Video サスペンス映画というものは当たり外れが激しいものではあるが、これは明確なハズレ。記者のポーター(エイドリアン・ブロディ)が未亡人キャロライン(イヴォンヌ・ストラホ…

『アメリカン・スナイパー』

アメリカン・スナイパー(字幕版) 発売日: 2015/06/10 メディア: Prime Video このあいだ『ミリオンダラー・ベイビー』を再視聴したら以前観たときよりもずっと面白く感じられたのだが、同じイーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』については、公開…

『ソーシャル・ネットワーク』

ソーシャル・ネットワーク (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 2010年の劇場公開当時以来なので、ちょうど10年ぶりの再視聴。フィンチャーの作品は『セブン』にせよ『ゴーン・ガール』にせよ再視聴してみると「こんなに面白かったんだ」と驚…

ひとこと感想:『メアリーの総て』&『ケーブル・ガイ』

●『メアリーの総て』 メアリーの総て(字幕版) 発売日: 2019/05/21 メディア: Prime Video わたしが学部生時代には英米文学を専攻していたことは『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』の感想で書いたが、アメリカ文学のゼミに入っていたとは…

『コーチ・カーター』

コーチ・カーター (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video カリフォルニア州・リッチモンド高校は落ちこぼれや貧困層の若者が集まる学校であり、生徒の大半がアフリカ系アメリカ人であるということもあって、卒業生の多くは逮捕されて刑務所で過…

『ザ・ファイブ・ブラッズ』

www.netflix.com 原題は『ダ・5・ブラッズ』(これくらい原題通りのタイトルにしてしまえばいいと思う)。スパイク・リー監督による、ベトナムに従軍した黒人兵士たちの物語。マルコムXやキング牧師を思い浮かばせるカリスマ的な隊長ノーマン(チャドウィッ…

『ミリオンダラー・ベイビー』:安楽死映画とか障害者差別映画とかじゃねえんだよ

ミリオンダラー・ベイビー (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 『グラン・トリノ』劇場公開当時、朝っぱらから大学の図書館でこの作品を観て、夜になってから劇場まで『グラン・トリノ』を観に行った思い出がある。というわけで12年ぶりの再…

『シンドラーのリスト』

シンドラーのリスト(字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 名作であることは間違い無いのだが、『戦場のピアニスト』と同じく、長過ぎる。印象的なエピソードは多々あるのだが、逆に印象的でないというかホロコーストものや戦争ものとしては"よ…

ひとこと感想:『心のカルテ』&『キングのメッセージ』

●『心のカルテ』 www.netflix.com 摂食障害(拒食症)の主人公(リリー・コリンズ)が、医師(キアヌ・リーヴス)の指導のもと、同じような問題を抱えている若者たちと集まった治療用の施設に行って、そこにいる男子(アレックス・シャープ)と恋愛的な関係…

ひとこと感想:『オンリー・ザ・ブレイブ』

オンリー・ザ・ブレイブ(字幕版) 発売日: 2018/10/19 メディア: Prime Video 悲劇の実話をベースにした作品なのだが、その実話の悲劇性に引っ張られて、作品としてはかなりつまらなくなってしまっている。 ネタバレしちゃうと主人公(ジョシュ・ブローリン)…

ひとこと感想:『スパングリッシュ:太陽の国から来たママのこと』&『シーラーズの9月』&『7500』

●『スパングリッシュ:太陽の国から来たママのこと』 スパングリッシュ (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 高校生の時に観て以来だから13年ぶりくらいの再視聴。さすがにストーリーの内容はほとんど忘れていた。 夫のジョン(アダム・サン…

『レボリューショナリー・ロード:燃え尽きるまで』

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video サム・メンデス監督の作品は『007』シリーズ二作や『1917』*1は観ているが、それ以前の作品を見るのは、実はこれが初めてだ。 話の内容としては、不満や焦…

『セブン』

セブン (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 同じデビッド・フィンチャー監督でブラッド・ピット準主演な『ファイト・クラブ』に比べて、同じ時期(10年以上前の学生だった頃)に初視聴した『セブン』についての記憶は「オチがすごかったのは…

『ファイト・クラブ』

Fight Club (字幕版) メディア: Prime Video ジョセフ・ヒースの『反逆の神話』を読んでいるうちに観たくなったので、10年ぶりくらいに再視聴。 ヒースが指摘しているようにいまでは陳腐化したカウンターカルチャーの価値観が多少作品に反映されているので、…

『バットマンvsスーパーマン:ジャスティスの誕生』:「はあ?」だらけだったけどいま見ると意外と悪くない

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(字幕版) 発売日: 2016/07/12 メディア: Prime Video ダークナイト三部作を再視聴してティム・バートン版『バットマン』も再視聴したついでに、こちらも再視聴した。ベン・アフレックの顔が無性に見たくなった…

『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』

『スイス・アーミー・マン』のダニエル・シャイナート監督の作品。『スイス・アーミー・マン』とはまた違ったかたちで、人の"死"を扱ったブラックユーモアが展開される。 冒頭に主人公のジーク(マイケル・アボット・Jr)とアール(アンドレ・ハイランド)と…

『パブリック:図書館の奇跡』

エミリオ・エステベスの監督兼主演作品。 オハイオ州シンシナティの図書館職員の主人公(エミリオ・エステベス)は、トイレや水道を利用したり暖をとるために図書館を利用したりしているホームレスたち(リチャード・T・ジョーンズ、マイケル・ケネス・ウィ…

『ブックスマート:卒業前夜のパーティーデビュー』:「誰も傷つけない笑い」が排除するもの

カリフォルニアのハイスクールに通うモリー(ビーニー・フェルドスタイン)とエイミー(ケイトリン・ディーヴァー)は、良い大学に進学するために遊びには目もくれずに勉強に明け暮れていた。その甲斐もあってモリーはイェール大学への進学が決定していたし…

ひとこと感想:『殺人狂時代』、『マーウェン』

●『殺人狂時代』 殺人狂時代 発売日: 2015/07/01 メディア: Prime Video おなじ岡本喜八監督作の『日本のいちばん長い日』はシリアスな題材を描き切った名作であったが、ブラックでスラップスティックなコメディ作品であるこちらは「賞味期限切れ」という感…

『プロミスト・ランド』

プロミスト・ランド メディア: Prime Video ガス・ヴァン・サント監督の作品。 シェールガスの採掘権を買いに田舎町にやってきたエネルギー会社の社員であるスティーヴ(マット・デイモン)が主人公。スティーヴの同僚のスー(フランシス・マクドーマンド)…

ひとこと感想:『マイル22』、『プロジェクト・パワー』、『バットマン』、『デス・ウィッシュ』

さいきん観たなかで面白かった作品については個別に感想を書いてしまったので、つまらなかったものの感想をこちらにまとめる。 ●『マイル22』 マイル22(字幕版) 発売日: 2019/07/12 メディア: Prime Video CIA分析官ジェームズ・ビショップ(ジョン・マル…

『Search/サーチ』

Search/サーチ (字幕版) 発売日: 2019/01/11 メディア: Prime Video 「100%すべてPC画面の映像で展開」がウリの、ミステリー映画。……といっても、途中からはスマホでの画面付き通話(Facetime)とかTVニュースの映像が登場するようになって、「100%すべてPC…