THE★映画日記

映画(たまに漫画や文学)の感想と批評、映画を取り巻く風潮についての雑感など。

『イン・ザ・ハイツ』

もうすぐ上映終了なので、早朝から駆け込みで鑑賞。 ミュージカル映画としてもとりわけミュージカルシーンが多く、セリフで進行するシーンはあまりない。そして、湿っぽいバラード的な曲の数は少なく、ラテン系らしい陽気なミュージックが大半なので、そうい…

『孤狼の血:LEVEL2』

前作のほうがシンプルで王道なので好みであるが、今作も悪くない。松坂桃李が演じる主人公は、前半こそパッとしないものの、後半で弟的な存在が殺されてからの「覚醒」はなかなかのものだ。人のいい顔をした相棒刑事が実は……という展開や、ロクでもなさそう…

『OLD』

『イン・ザ・ハイツ』と『孤狼の血:LEVEL2」を観にいく"ついで"という気持ちで観に行ったのだが、意外や意外、この作品がいちばん面白かった。 わたしはシャマラン監督についてはきわめてニュートラルな立場であり、ファンでもアンチでもない。最近だと『ス…

『フリー・ガイ』(と『ザ・スーサイド・スクワッド』)

同日公開した『ザ・スーサイド・スクワッド』のついでの前座という扱いで、軽い気持ちで観にいったのだが、予想を遥かに超えてぶっちぎりで今年のベスト*1。ここ数年のエンタメ映画としてもベスト級である。ぶっちゃけたところ俳優陣は主演のライアル・レイ…

『ドライブ・マイ・カー』(+『マディソン郡の橋』)

中盤までは展開がそれなりに予測できず、それなりにオリジナリティのある絵面が多く、新鮮味があって楽しい。手話を含む多言語が飛び交う「台本」読みのシーンや、韓国人夫婦の家にお呼ばれして食事をするシーンなどは他の映画ではほとんど見ることのないよ…

『ブラック・ウィドウ』

theeigadiary.hatenablog.com ・わたしはアベンジャーズの面々のなかではブラック・ウィドウがいちばん好きだし、トップクラスに重要なキャラだと思っているので、彼女の単独映画が公開されたのは喜ばしい限り。 ・女性ヒーローが主人公ということで否応なく…

『ゴジラvsコング』

ゴジラvsコング [Blu-ray ※日本語無し](輸入版) -Godzilla vs Kong Blu-ray- Amazon ・ハリウッド版(レジェンダリー版)の『ゴジラ』シリーズは、一作目のギャレス・エドワーズ監督による『GODZILLA ゴジラ』をわたしはもっとも高く評価している。・たしか…

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版冒頭12分37秒00コマ』 緒方恵美 Amazon ・当初は観る気はなかったのだけれど、先週末は久しぶりに映画をいっぱい観ることになり、そしてちょうどフィナーレ上映のタイミングであった…

『ワンダーウーマン1984』

劇場に映画を観に行ったのは黒沢清監督の『スパイの妻』以来で、およそ二ヶ月ぶり*1。 わたしはマーベル映画のなかでは『キャプテン・マーベル』がいちばん嫌いなのだが*2、逆に、この映画の前作の『ワンダーウーマン』はDC映画のなかでもいちばん好きな作品…

『クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』

クレヨンしんちゃんの映画を劇場で見るのは2016年の『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』に続いて2回目。他には、『オトナ帝国の野望』や『戦国大合戦』はもちろんのこと、『夕陽のカスカベボーイズ』や『栄光のヤキニクロード』や『逆襲の…

『TENET テネット』:設定や構成が難しいのは置いておいて、人間ドラマやテーマが描けていない

コロナ禍による大作映画の公開延期と『TENET テネット』公開前の盛り上げということが重なって、2020年は7月からノーランの過去作品のIMAX上映が続いた。 もともと自分のなかの生涯ベスト級作品であった『ダークナイト』はIMAXで観てみるとこれまでとは…

ひとこと感想:『7番房の奇跡』&『羊飼いと屠殺者』&『LOOPER/ルーパー』

●『7番房の奇跡』 www.netflix.com もともとは韓国映画だが、トルコでリメイクされたバージョンを鑑賞。トルコ映画なんかなんてなかなか見る機会がないし、「ファンタジー色や感動色が強すぎる韓国版よりも抑えめなトルコ版の方が面白い」という評判を見か…

『#生きている』

www.netflix.com Netflixオリジナルで韓国映画でゾンビもの。 ゲームオタクな青年のジュヌ(ユ・アイン)がマンションの部屋でゲームしているうちにゾンビパンデミックが発生して、マンションの外にはゾンビ大量発生で出ることができないので、家にあったレト…

『シャイニング』&『ドクター・スリープ』

『シャイニング』は五つ星、『ドクター・スリープ』は二つ星。 ●『シャイニング』 シャイニング (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video いまでは大半のホラー映画はそんなに怖くなく見れるし夜におシャワーしたりおトイレに行くときにもホラー…

『インターステラー』

インターステラー(字幕版) 発売日: 2015/03/25 メディア: Prime Video 2014年の公開当時には、もちろん劇場に観に行った。しかし、ノーラン映画のなかでもとりわけ複雑な構成をした作品だということもあり、観た当時は何が起きているか正直よくわからない部…

ひとこと感想:『最高の人生の見つけ方』、『アイ・アム・マザー』、『ニンジャバットマン』

●『最高の人生の見つけ方』 最高の人生の見つけ方 (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video かなり有名な映画ではあるのだが、わたしはこれまで未見で、今回はじめて視聴した。 評価の高い映画であると思ってけっこう楽しみにしてとっておいたし…

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video スピルバーグは一部の例外はあれど好きであるし、トム・ハンクスもレオナルド・ディカプリオも好きであるのだが、この作品はどうにも好きになれない。 好きになれな…

『幸せへのまわり道』

実績を出しているやり手ではあるがシニカルで批判的なジャーナリストのロイド・ヴォーゲル(マシュー・リス)は、雇い主の命令で子ども番組の司会者であるフレッド・ロジャース(トム・ハンクス)を書くことになる。はじめは「子どもだましな番組を作ってい…

ひとこと感想:『白い闇の女』、『危険なメソッド』

●『白い闇の女』 白い闇の女(字幕版) 発売日: 2017/09/06 メディア: Prime Video サスペンス映画というものは当たり外れが激しいものではあるが、これは明確なハズレ。記者のポーター(エイドリアン・ブロディ)が未亡人キャロライン(イヴォンヌ・ストラホ…

『アメリカン・スナイパー』

アメリカン・スナイパー(字幕版) 発売日: 2015/06/10 メディア: Prime Video このあいだ『ミリオンダラー・ベイビー』を再視聴したら以前観たときよりもずっと面白く感じられたのだが、同じイーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』については、公開…

『ソーシャル・ネットワーク』

ソーシャル・ネットワーク (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 2010年の劇場公開当時以来なので、ちょうど10年ぶりの再視聴。フィンチャーの作品は『セブン』にせよ『ゴーン・ガール』にせよ再視聴してみると「こんなに面白かったんだ」と驚…

ひとこと感想:『メアリーの総て』&『ケーブル・ガイ』

●『メアリーの総て』 メアリーの総て(字幕版) 発売日: 2019/05/21 メディア: Prime Video わたしが学部生時代には英米文学を専攻していたことは『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』の感想で書いたが、アメリカ文学のゼミに入っていたとは…

『死ぬまでにしたい10のこと』

死ぬまでにしたい10のこと(字幕版) 発売日: 2016/02/01 メディア: Prime Video ガンで余命2カ月を宣告されてしまった23歳のアン(サラ・ポーター)は、「死ぬまでにしたい10のこと」のリストを書き出してそれを実行しようと生きることにした。リストには「娘…

『コーチ・カーター』

コーチ・カーター (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video カリフォルニア州・リッチモンド高校は落ちこぼれや貧困層の若者が集まる学校であり、生徒の大半がアフリカ系アメリカ人であるということもあって、卒業生の多くは逮捕されて刑務所で過…

『七つの会議』

●『七つの会議』 七つの会議 発売日: 2019/09/11 メディア: Prime Video わたしは、たまにテレビ番組を見てみたときに、それがワイドショーやバラエティ番組であってもドラマ番組であっても、映像や演出や音楽や効果音などのケバケバしさやダサさや出演者の…

『ザ・ファイブ・ブラッズ』

www.netflix.com 原題は『ダ・5・ブラッズ』(これくらい原題通りのタイトルにしてしまえばいいと思う)。スパイク・リー監督による、ベトナムに従軍した黒人兵士たちの物語。マルコムXやキング牧師を思い浮かばせるカリスマ的な隊長ノーマン(チャドウィッ…

『ミリオンダラー・ベイビー』:安楽死映画とか障害者差別映画とかじゃねえんだよ

ミリオンダラー・ベイビー (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 『グラン・トリノ』劇場公開当時、朝っぱらから大学の図書館でこの作品を観て、夜になってから劇場まで『グラン・トリノ』を観に行った思い出がある。というわけで12年ぶりの再…

『シンドラーのリスト』

シンドラーのリスト(字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 名作であることは間違い無いのだが、『戦場のピアニスト』と同じく、長過ぎる。印象的なエピソードは多々あるのだが、逆に印象的でないというかホロコーストものや戦争ものとしては"よ…

ひとこと感想:『心のカルテ』&『キングのメッセージ』

●『心のカルテ』 www.netflix.com 摂食障害(拒食症)の主人公(リリー・コリンズ)が、医師(キアヌ・リーヴス)の指導のもと、同じような問題を抱えている若者たちと集まった治療用の施設に行って、そこにいる男子(アレックス・シャープ)と恋愛的な関係…

ひとこと感想:『オンリー・ザ・ブレイブ』

オンリー・ザ・ブレイブ(字幕版) 発売日: 2018/10/19 メディア: Prime Video 悲劇の実話をベースにした作品なのだが、その実話の悲劇性に引っ張られて、作品としてはかなりつまらなくなってしまっている。 ネタバレしちゃうと主人公(ジョシュ・ブローリン)…